Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

2015-01-01から1年間の記事一覧

ガセネッタ&シモネッタ

米原万里=著、文春文庫 通訳稼業の辛さと面白さ。 「失楽園」と「トシマエン」。失楽園の映画の観客が「年増」と、スピーチする側もオモシロすぎでしょ。 「古池や蛙飛び込む水の音」この「蛙」、日本人なら大抵の人が1匹を思い浮かべる。それに対し、ドイ…

オリガ・モリソヴナの反語法

米原万里=著、集英社文庫

公害に第三者はない 宇井純セレクション2

宇井純=著、新泉社 読み直し企画。現代の環境研究に全く相容れないアプローチや思想かというと、そうでもない。宇井先生の文章を読んでいつも思うが、私たちは、公害時代に蓄積した研究アプローチから、一体何を学んできたんだろう、と恥ずかしくなることが…

原点としての水俣病 宇井純セレクション1

宇井純=著、新泉社 宇井先生の本は二十歳のころ初めて読み、それからも折に触れて。私の職業選択の指針になっているのは宇井先生の「公害原論」と、高橋裕先生の「都市と水」、米本昌平さんの「地球環境問題とは何か」。 現実を見ながら、最善の妥協をしな…

いしゃ先生

永江二朗=監督、2015年日本(志田周子の生涯を銀幕に甦らせる会 / 「いしゃ先生」製作委員会) MovieONやまがたにて鑑賞。あらすじは↓。 *** 第2次世界大戦後の山形県の無医村で、地域医療に尽力した実在の女医・志田周子(ちかこ)さんの半生を全編山形…

戦後行政の構造とディレンマ 予防接種行政の変遷

手塚洋輔=著、藤原書店 何を隠そう「暮しの手帖」第1世紀号(1948-1969)を暗記するほど読み込んでいた私としては、「戦後」ってめっちゃ身近。戦後行政ってだけでアガるが、どこまで歴史を遡るんだろうと手にとってみた。 予防接種行政がテーマで、「集団…

「学力」の経済学

中室牧子=著、ディスカバートゥエンティーワン 教育アドバイザーらしき仕事を受けている、夫が買ってきてたので読んでみた。とても分かりやすい。 「ランダム化比較試験」によって(有意差があることが)確かめられた結果から結論を導き出している。いやぁ…

社会人を実感

別に、就職したわけではないが、今更ながら「社会人って大変だわ」と実感している。 人事異動により事務方っぽい仕事してて早4ヶ月半。ようやく、企業の意思決定プロセス(稟議上げてくの大変!!)に慣れてきたところ。しかし、このスピード感のなさはなん…

ボクは坊さん。

真壁幸紀=監督、2015年日本(ROBOT) 山形にて。お坊さんである夫と鑑賞。 寺ワールドの不思議。私も、結婚して初めて足を踏み入れたその世界があまりに新鮮だったことを思い出した。用語も「オウリョウキ(応量器)持ってきて!」とか「???」だったw。…

メモ:電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準について

1急性放射線症/2急性放射線皮膚障害/3慢性放射線皮膚障害/4放射線造血器障害/5白血病/6白内障 については認定基準となる線量が定められている。 1や2は「比較的短い期間に大量の電離放射線に被ばくしたことにより生じた障害」、3(皮膚障害と…

スピッツ「僕はジェット」

スピッツの「色色衣」という、シングルのB面(今はB面って言わないのか?)だけを集めたアルバムを聞いていて、一番衝撃を受けたのがこれ。1990年ころの録音。若くて青くて、今のスピッツ知っている人はカッコイイとは言わないかもしれないけど、私にとって…

エビデンスベーストメディスンが、なぜ根付かないのか

一緒に研究している医師のT先生に聞いてみた。 答え「それは、医学で治せる病気が極めて限られていることに尽きるのではないでしょうか。」 原因やメカニズムがわかっているのは、感染症とがん。それくらいしか人類は病気を克服できていない。 糖尿病や高血…

文系官僚が「リスク」を理解するか

朝ラジオを聞いていたら、増田寛也氏が使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)の地層処分について、審議会での検討状況を語っていた。 ラジオのパーソナリティはすごく勉強していて、リスクについてめちゃめちゃ食いつきが良くてもっと聞きたそうだった。し…

推定値を使う

「待機児童ゼロ」、目標にすると危険 親の思いと乖離(朝日新聞デジタル2015年10月5日)より。一橋大学経済研究所の宇南山卓准教授。 待機児童数って、本当に変な指標だと思っていたのよね。だって、 待機児童をゼロにするということは、保育所に入りたい人…

タンゴ・冬の終わりに

行定勲=演出、三上博史ほか 渋谷・パルコ劇場にて観賞。精神を病んでいく俳優が主人公の話で、清水邦夫の戯曲自体はすごく有名なので一度観たかった。不条理感は80年代テイストで今観ると共感しづらい部分もあったが、三上博史と倉科カナのタンゴシーンはさ…

純粋な科学と「科学的な手続き」の違い

純粋な科学と「科学的な手続き」の違いについて、明快に説明できなきゃいけない場面があり、ちょっといろいろ考える毎日。 今更ながらこんな↓記事を見た。 「飛行機がなぜ飛ぶか」分からないって本当? NB online 2014年5月16日(金) http://business.nikke…

ミニオンズ

ピエール・コフィン、カイル・バルダ=監督、2015年米国 子どもたちと夫と。ただひたすら可愛い、ミニオンズたちの冒険。ホンワカしてドキドキもして。

at home

蝶野博=監督、2015年日本 夫と。 泥棒の父と結婚詐欺師の母、偽造紙幣づくりのプロの長男、・・・すごい設定。DVなど見ていて辛いシーンもあったが、それ以上にずおーんと考えさせられる映画。血が繋がっていなくても家族として一生懸命生きる。それでいい…

花よりもなほ

是枝裕和=監督,2006年日本 是枝監督コンプリに向けて着々と(?). テイストとしてはワンダフルライフ.ほのぼのぼんやりコメディで,どうしてこうなった!,しかしこれが真実だからまあいっか.的な.岡田准一のぼんやり感がいいっすね. 仇討ちの代わり…

俺たちに明日はない

アーサー・ペン=監督,1967年米国(Warner) "Bonnie and Clyde".これを真似してインド映画”Bunti aur Bubli”が作られた,と聞いていたので,その一点でずっと観たかったのだけど.監督のアーサー・ペンは「奇跡の人」見たけど凡庸でつまんなかったから,…

嘘つきアーニャの真っ赤な真実

米原万里=著,角川文庫 これは・・・すごい本に出会ってしまった.ノンフィクション.心打たれまくって涙流しながら2回もじっくり読む. 斎藤美奈子の解説にも注目.私に勧めてくれたのは,なんとなんとウチの長女!斎藤美奈子つながりでこの本を読みたく…

バイオアベイラビリティーを考慮した評価を有機化合物にもという提案

ES&TのFeature論文.doi: 10.1021/acs.est.5b02412 金属の評価ではおなじみだが,有機化学物質も同様にバイオアベイラビリティーを考慮して評価したらどう?という提案.今年のSETAC-EUで,こういうセッションがあったのだろうか. あまりまじめに読んでない…

Risk Analysis 35(6)で要チェック

・特集が”Special Issue: Special Series on Research Synthesis Methods: A Cross-Disciplinary Approach”ってことでメタアナリシスのススメやAOPなど.これは要チェック. 個別の論文では ・AoP.金属のミクスチャ(鉛,ヒ素,カドミウム,マンガン)が神…

米国:石炭火力発電所からの水銀排出の規制について

http://www.supremecourt.gov/opinions/14pdf/14-46_10n2.pdf Kagan判事の反対意見 I would agree with the majority’s conclusion that EPA failed to adequately consider costs. Cost is almost alwaysa relevant—and usually, a highly important—factor…

夏休み旅行(新潟)

私の父の実家は長岡,母の実家は燕.どちらも新潟県なので一気に訪問してきた. 夫,次女,義母は初の訪問となった.山形からの車移動は大変便利で,長井から小国を抜け,新潟の村上から燕までは高速.所要時間2時間半弱,近い!!! しかし,山形県と新潟…

シンガポール雑感

無事にシンガポールに着いて,街歩きと夕食.初めて来ましたが,小さい街なので,繁華街を脳内地図にインプットすれば旧知の町のように歩けます. シンガポールは極めて東京と似ています.他の東南アジアの大都会とは全然違いますね.東京っぽいところは色々…

「いのちは大切」,そして「いのちは切なし」

副題:放射能問題に潜む欺瞞をめぐる哲学的再考 一ノ瀬正樹,東京大学哲学研究室『論集』33号,pp.1-47 原文はこちら 放射能問題は専門外であろうのに,一次文献をかなりあたっていて(多分,普通の哲学の先生はそんなことしない.偏見ならすみません),い…

教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」

内田良=著,光文社新書 学校では,リスクは減らすものではなく,乗り越えるもの,という扱いだと.斬新すぎる(皮肉). 学校は感動と美談の宝庫だが,一方で強制の宝庫でもある.可能な対策としては,個人の選択の幅を広げること…なんだろうな.組体操は有…

名作うしろ読み

斎藤美奈子=著,中央公論新社 名作の最後の一文を抜き出し,なぜそのエンディングなのか,オモシロウンチク話を交えて解説する新しいタイプの文芸評論. とにかく斎藤美奈子センセが大量の読書をしていることにまずオドロキ.そしてこの本の面白いところは…

リスク(上)(下)

ピーター・バーンスタイン=著,青山護=訳,日経ビジネス人文庫