「待機児童ゼロ」、目標にすると危険 親の思いと乖離(朝日新聞デジタル2015年10月5日)より。一橋大学経済研究所の宇南山卓准教授。
待機児童数って、本当に変な指標だと思っていたのよね。だって、
待機児童をゼロにするということは、保育所に入りたい人は全員が入れるという状況を達成することです。ですが、『保育所に入りたい人』の定義があいまいで、自治体ごとに数え方が異なります。『育児休業を延長』などの場合、待機児童にカウントしない自治体があると報じられています。これは、当事者の実感としては『入りたいのに入れない』状況です。『希望している』ということは、定義次第でどうにでもなり、すごく危険です
そう、そもそも正しく定量できないものだから。
そういうときは推定アプローチ(トップダウンアプローチ)を使えばいい↓。日本人って、なぜかこういう考え方が苦手。でも、全体を正しくつかむには必要。
『潜在的定員率』を提案しています。子どもを潜在的に産むであろう女性の数、例えば20歳前後から40代くらいの女性の人口と、保育所の定員の比率です。子どもや仕事の有無などに関わらず、どれくらい保育所を利用する可能性があるかを表せます。
例えば、25歳から44歳の20年間で、1人の女性が子どもを1人、保育所に3年間預けようとすると、20年のうち3年保育所を使うことになります。つまり「20分の3」で15%。潜在的定員率が15%くらいあると、すべての女性が子ども1人を3年くらい保育所に預けられる計算になります。
仕事を続ける女性とやめる女性がだいたい50%ずつだと仮定して、0歳から6年間預ける場合を考えてみましょう。潜在的定員率が15%あれば、子ども1人を6年間預けられる計算です。そのような感覚の数字と理解していただけたら」
↓行政は往々にしてこういう手段を取る。数字のからくりをきちんと考えることは大事です。
保育所の定員を増やすより定義を変える方が簡単なので、自治体に見かけ上の待機児童を減らす行動を取らせることにもつながりかねません。
というわけで、この記事すごく面白く読んだのでメモ。
余談だが、
試算によれば、日々の運営だけでゼロ歳児1人につき1カ月35万円程度の経費がかかるといわれています。
これは、私も試算したことある。人件費がゼロ歳児1人につき1カ月20万円くらいかなと。思い返せば、上二人を認可保育園に産休明けから預けて働いた私は、払う税金より受け取る利得のほうが数倍大きかった。はい、頑張って仕事します。