Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

デンマークの飲料水中ヒ素の基準値、基準値の強化への対応と費用対効果(ES&T)

Drinking Water Criteria for Arsenic in High-Income, Low-Dose Countries: The Effect of Legislation on Public Health
Loren Ramsay, Mette M. Petersen, Birgitte Hansen, Jörg Schullehner, Patrick van der Wens, Denitza Voutchkova, and Søren M. Kristiansen
Environmental Science & Technology 2021 55 (6), 3483-3493
DOI: 10.1021/acs.est.0c03974

Due to the potential health risks at very low concentrations, the criterion for arsenic in drinking water has been debated. High-income, low-dose countries are uniquely positioned to follow WHO’s recommendation of keeping concentrations “as low as reasonably possible.” In this policy analysis, 47646 arsenic analyses from Denmark are used to follow the effect of lowering the national criterion from 50 to 5 μg/L. The first 3 years (2002–2004) following the criterion change, 106 waterworks were identified as noncompliant. An additional 64 waterworks were identified as noncompliant in the next 12 years (2005–2016). Of the 106 waterworks initially (2002–2004) aware of the violation, an average concentration drop from 6 to 3 μg/L was observed during a 6 year period following a lag time of 1 year. After this point, no further improvements were observed. Thirteen years after regulation was imposed, 25 of 170 waterworks were still in violation. The results suggest that legislation alone is insufficient to ensure better drinking water quality at some waterworks and that stakeholders’ drivers and barriers to change also play an important role. In an exploration of five legislation scenarios, this study showed that a criterion of 1 μg/L would require action by more than 500 Danish waterworks, with treatment costs from 0.06 to 0.70 €/m3. These scenarios illustrate that it can be technically feasible and affordable to lower the arsenic criterion below 5 μg/L in low-dose, high-income countries. However, more information is needed to apply a cost–benefit model, and comparative studies from other counties are warranted.

非常に低い濃度で健康被害が発生する可能性があるため、飲料水に含まれるヒ素の基準については議論されてきました。高所得で低線量の国は、WHOの勧告である "合理的に可能な限り低い濃度 "を維持することができるユニークな立場にある。この政策分析では、デンマークの47646件のヒ素分析結果を用いて、国の基準値を50μg/Lから5μg/Lに下げた場合の効果を調べた。基準値変更後の最初の3年間(2002年〜2004年)には、106の水道事業所が基準値に適合していないと判断されました。その後の12年間(2005年~2016年)では、さらに64の水道局が不適合と認定されました。最初(2002年~2004年)に違反を認識した106の水道局のうち、1年のタイムラグの後、6年間で平均濃度が6μg/Lから3μg/Lに低下したことが確認されました。それ以降は改善が見られませんでした。規制から13年後、170の水道局のうち25の水道局がまだ違反していました。この結果は、一部の水道において飲料水の品質を向上させるためには、法律だけでは不十分であり、利害関係者の変化を促す要因や障壁も重要な役割を果たしていることを示唆している。本研究では、5つの法規制シナリオを検討した結果、基準値を1μg/Lとすると、デンマークの500以上の水道局で対策が必要となり、処理コストは0.06~0.70ユーロ/m3となることがわかりました。これらのシナリオは、暴露濃度が低い高所得国において、ヒ素の基準値を5μg/L以下に引き下げることが技術的に実現可能であり、かつ手頃な価格であることを示している。しかし、費用対効果モデルを適用するためには、より多くの情報が必要であり、他の国との比較研究が必要である。

スティング

ジョージ・ロイ・ヒル=監督、1973年Universal
Screenwriter David S. Ward ←脚本が凄い!!
ポール・ニューマンロバート・レッドフォード
1996年3月に一度見たがその時はポール・ニューマンに目が釘づけで、話の細部を全く覚えていないことに気が付いたので、ここに来てDVDを借りてきた。
25年ぶりにみる映画もよいものだ。
人をいかに騙すか、そして騙されたことを気づかせないか。ペテンもここまでハイレベルになると職人芸として表彰したくなる。ギャンブルには人の本性、欲が表れて、真実が垣間見られるのは尊い。ポーカーと電信競馬。
Johnny Hooker(演・レッドフォード)が復讐のために巨悪からお金をだまし取ることをたくらむ。しかし、Henry Gondorff(演・ポール・ニューマン)は青いHookerを前に冷静に「これだけデカいのは一人じゃできない、準備も必要だ」と。カッコイイですね。
懲らしめられる巨悪はドイル・ロネガン(演・ロバート・ショウ)。いつも冷静なのだが、一瞬見せる動転と焦りの表情が素晴らしい。
出てきた地名:Five Points, NY、Joliet, IL
借りたDVDの特典映像で関係者(音楽担当のMarvin Hamlisch)が証言していた。ラグタイムの演奏に使うピアノの種類にもこだわったのだとか。ブリュートナーのピアノ、今度音を聴いてみたいなぁ。

ノマドランド

クロエ・ジャオ=監督、2020年米国サーチライトピクチャーズ
アカデミー賞受賞作だから、という下心があったことは否定できないが、観に行くことにした。ドキュメンタリー風のドラマということで是枝裕和さんテイストであるということを聞いていたため。
家がなく、車を改造して、いわゆるキャンピングカーで移動し、働く生活。「ホームレスではない、ハウスレスよ。」とシンプルに主人公が語る。
貧乏なわけではない。SNSで同じ境遇の友人たちとつながっている。肉親もいて天涯孤独ではない。しかし、車で移動する生活を選ぶ。友人たちや姉が「ここで一緒に住もう」と言ってくれる。それをやんわりと断って、明日も主人公は移動する。尊厳をもって。
これを新しい生き方とみるか、アメリカンドリームの復活とみるか。切ないとみるか。
家を失った不運、配偶者を亡くし思い出とともに生きる。この点はニュートラルに描かれていて、こういうのもアリだよなと素直に思った。社会から見捨てられた、というわけでもなく、どちらかというと心穏やかなヒッピー。仲間たちが集まっているシーンは60年代をほうふつとさせた。
Amazonのクリスマス商戦の配送センターでの労働の様子が、なかなかリアル。車生活の人専用の駐車場も用意されているなど福利厚生がよく、きついが給料が良いと言っていたので、これもアリかもしれない。

ただ、正直に言うと、実利的な部分がつらかった。車の生活、足を伸ばして寝られない。冬は寒い。車は故障すると、修理屋まで行くのに誰かの助けを借りなければならない。自分の体が健康だからできるので、病気になったらどうしようと不安になった。もっとも、がんが転移してもノマド生活している人がいたので、その時はその時なのかもしれない。出演者の大半が高齢者だったのも、希望なのか絶望なのかよくわからない。私がノマド生活、というか二拠点生活をしているので良い点も悪い点も見えているから、共感は強くなかった。これがアカデミー賞脚本賞か・・・アメリカも変わったよなぁ。とちょっと思った。
亡き夫とキャンピング仕様に作り上げた改造車は、主人公の思い出が詰まっていて「ボロ」だが手放せないものだった。夫の趣味である釣りの道具が入れられる収納があり、それを改造して引き出しにし、コンロをしまって、トイレも作って。髪は町中のモーテル(?)で自分で切る。服は質素だがおしゃれだった。
アメリカの大自然(バッドランズ国立公園)でのバイト。良い景色に囲まれながらキャンパーたちのサポートをする仕事がある。
車生活の食生活は極めて質素。車中にコンロが一つ。キャンベルのスープ缶を開け、温める。それに引き換え、友人の家にお呼ばれしたときのサンクスギビングのディナーの暖かいこと。ワイングラスで乾杯することが、こんなに暖かいんだと思ってしまった。
アメリカ中西部だから、キャンピングカーをどこでも停めてよいんだと思っていたけど、意外に車中泊お断りって言われるのね。タイヤがパンクしたときのリスクも高い。自分で車を修理するスキル。う~ん。この生活を許容するかは、完全に個人の好みの領域だよね。

有害大気汚染物質の健康リスク評価

BMD法を採用する場合はどのような場合か。ヒト疫学データではしないが、動物試験データしかない場合は実施するのか。有害大気汚染物質のリスク評価において、これまでBMD法を採用した例は1,2-ジクロロエタンのみであると思う(もう一度確認)。

と思ったら、環境省WEBの「大気環境基準等」の項目、ここの
www.env.go.jp

平成18年11月8日 今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第八次答申)
別添1 指針値算出の具体的手順の一部改定について [PDF 499KB]
に整理してあった。
https://www.env.go.jp/council/toshin/08-1.pdf

トリチウム

トリチウムの実効線量係数は放射性セシウムの係数より3桁小さい.同じ濃度でも,生物に与える影響は相当小さいということ.にもかかわらず,処理水の海洋放出はなぜあんなに嫌われるのか.この心の動きってなんなんだろうな.
1.「放出」という言葉からくる,何もしていない印象
2.薄めることが,ごまかしているみたいで気に入らない
3.リスクがわずかでも上がることを押し付けられている感

この中で,対話(コミュニケーション)で改善される事項はあるのだろうか・・・
やっぱり,3.の「押し付けられている感」大きいのかな.実質的な影響がどんなにわずかだとしても,割り切れない思いがある,そこが大きいのかな.
ということは,水をパイプラインで首都圏に運んできて東京湾に流すと,事態は解決するのだろうか.約300km,アメリカだったらやってそうな距離だが,こういうのもかえって分断を生むだけだろう.

怒りをベースに進めると誰も得しない

JR「乗車拒否問題」,ホーキング青山さんが言ってた「怒りをベースに進めると誰も得しない」.
まさにこれ.いくら困っているとしてもケンカ腰で交渉してはいけない!
私が80年代(90年代もかな)のフェミニズム活動家に感じていた違和感はこれだった.
女性が弱い立場で虐げられているのはわかるし私自身もそのことを実感しなかったわけじゃないが,
活動家たちがいきなり「あなたのことが嫌いです」みたいな感じで議論を吹っ掛けるのは,嫌いだった.
フェミニズム運動は非常に大事だし,応援すべきなんだろうなと思っても,なぜか好きになれないんだよなーと思って30年.
単に品がないというだけでなくて,何も解決しないのだ,やっぱり.
今読んでいる「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」でも,ポジティブな情報を出して人を動かすのが一番,って書いてあったよ.

リスクの大小よりも投資家へのアピール

最近の環境対策を見ていて思うこと
リスクの大小で優先順位をつけ、順位の高い対策を実行するよりも、投資家へのアピールが大きい対策を実施する、この動きが顕著になっているように思う。
この界隈で世界をリードするEU。「それ!見習わないと」とばかり、EUに準拠する対策ばかり実施されたりする。
だから世界で環境対策が画一的になっていく。
PFOSなどのForever chemicalsもそう。マイクロプラもそう。と思ったら、有機農業もか。このサイトにあった農水省の説明PPTを見て、”ESG投資”という言葉が真っ先に浮かんできた。

農水省の「有機農業推進」が〝脅かす〟食の安全「みどりの食料システム戦略」案に批判噴出(前編)
wedge.ismedia.jp

農水省EUを〝真似た〟戦略案を作る理由 「みどりの食料システム戦略」案に批判噴出(後編)
wedge.ismedia.jp

みなさま、EUと同じ対策をすることで支払うコスト、失うものを考えたことがある?