Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

「いのちは大切」,そして「いのちは切なし」

副題:放射能問題に潜む欺瞞をめぐる哲学的再考
一ノ瀬正樹,東京大学哲学研究室『論集』33号,pp.1-47
原文はこちら
放射能問題は専門外であろうのに,一次文献をかなりあたっていて(多分,普通の哲学の先生はそんなことしない.偏見ならすみません),いい意味で驚いた.
新しい情報はないが,モヤモヤを整理しようとする姿勢と方法論!それが哲学という学問のあり方なんだなーと思ったので記録.

データが重なっても不安を促すというのは,かりにもともとは正義感に発する行為なのだとしても,はっきり申し上げて,それ自体非人道的で,道徳的に厳重な非難に値する行為である

正直,文系の先生でこういうことをきちんと書く人はいない.潔い態度だねぇ.文系どころか,この間,某サイエンスライターのかたも「データはある,でもねえ・・・」みたいな文章(書評)を書いたがゆえに総ツッコミにあっていた.こういうことを書くのがよっぽど勇気がいるということだ.