Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

読書

春に散る

沢木耕太郎=著 ボクシングもの。沢木さんのさわやかな筆致のおかげですらすらと読めてしまう。面白い。 でも、ルポライター時代の沢木さんは絶対こんなの書けなかっただろうな。世界チャンピオンにも手が届いた元ボクサーの初老男性の夢が詰まっている。ロ…

下山事件(シモヤマ・ケース)

森達也=著、新潮文庫 いやー面白かった。こういうの大好き。 下山事件の全容に迫るアプローチというよりは、下山事件取材の顛末、もっと大きな括りでは、(取材の)戦いに負けていく様子が克明に描かれている。サクセスストーリーは数あれど、負けていくス…

十五の夏

佐藤優=著、幻冬舎文庫面白い。1975年、高校生一年生(15歳)で東欧とソ連への一人旅。15歳の彼と、東欧・ロシアを一緒に旅させてもらった。読んで良かった。大感謝。 でもね、まず、行かせた親がイっちゃってる。旅行代金が当時で48万円もするのよ。 エピ…

赤ヘル1975

重松清=著、講談社文庫1980年から84年にかけて広島市で過ごした身には、大変身に染みるものであった。広島弁がただただ懐かしく、1ページごとに肯首しながら読んでしまった。中一男子3人の物語で、ひたすらカープの話、バックには原爆。淡い初恋など全く出…

1月の読書

「なぜ理系に女性が少ないのか」横山広美=著、幻冬舎新書 230103読了。こういう人文系のデータは、すっきりした結論になることは少ないよね、うんうん。わかる。そこがとても誠実で良かった。中学1年時点で女子が理系へ進む意欲を削がないこと、わかる。異…

技術システムの神話と現実 原子力から情報まで

吉岡斉・名和小太郎=著、みすず書房、2015年p68 「安全文化は安全を専門家によって組織内に抑え込む、これに対して情報セキュリティ文化は、それが不可能なので、ユーザーにまで安全についての覚悟を求める、という構造になっています。」 →情報セキュリテ…

読書記録

読んでないわけではないが、記録が追い付かずそのままになっている。自分の記録力が弱くて泣けてくる。書き始めるとひたすら書いてしまうのだが。「なぜ日本人は、最悪の事態を想定できないのか―新・言霊論」(祥伝社新書) 井沢 元彦=著 筑波大のK先生が、原…

海洋プラスチックごみ問題の真実

副題:マイクロプラスチックの実態と未来予測 磯辺篤彦=著、化学同人海洋モデルも河川モデルでも何でもそうであるが、普通の移流拡散モデルは、粒子の挙動や物質の偏在を表すのが極端に苦手なんだなー、という当たり前のことが感想として出てきた。希釈、拡…

炎上CMでよみとくジェンダー論

瀬地山角=著、光文社新書 広告業に係るすべての人が読むべき本。炎上CMのパターンを「性別役割分業(現代にあわない価値観)の押し付け」、「訴求層の見誤り」と2つのポイントに整理したところが分かりやすい。なるほどこういう軸があったのか。 面白いのは…

フォン・ノイマンの哲学

高橋昌一郎=著、講談社現代新書 面白かった。ノイマンだけじゃない、天才たちのやり取りから目が離せなくて一気読み。目くるめく人間模様。 ノイマンはもちろんのこと、原子核物理の分野で活躍した偉人達、ニールス・ボーア、ハイゼンベルク、アインシュタ…

危険は予測できるか!化学物質の毒性とヒューマンリスク

JV ロドリックス=著、宮本純之=訳、化学同人この期に及んでもう一度読み返す。20年前読んだ。しかし内容を全然わかってなかった。私はこの20年、何をやっていたのだろうとまたしても落ち込んでしまうが、、、気を取り直して読む。 原題が「CALCULATED RISK…

天空の蜂

東野圭吾=著、講談社文庫 リスクというテーマで本棚を飾れるとしたら、この本入れるな。 リスク学ではなくて。 ギリギリのトレードオフをどう選択するか、という判断が詰まっているから。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

新井紀子=著、東洋経済新報社 第1章 MARCHに合格――AIはライバル 第2章 桜散る――シンギュラリティはSF 第3章 教科書が読めない――全国読解力調査 第4章 最悪のシナリオふむ。AIは文字列をインプットデータとして”正解”を出すが、文章の意味を(全く)理解して…

忖度しません

斎藤美奈子=著,筑摩書房 本で読んで考え続けることから,最近めっきり遠くなってしまった。本を読んでいる時はほかの外部情報を一切遮断する,これができる。逆に言うと最近は外部情報がランダムに入って来すぎて,ただ通り過ぎていくだけで考えないのだ。…

ペスト

アルベール・カミュ=著、新潮文庫

もうダメかも 死ぬ確率の統計学

マイケル・ブラストランド、デイヴィッド・シュピーゲルハルター=著 松井信彦=訳 みすず書房原題:THE NORM CHRONICLES Stories and Numbers About Danger and Death前情報ほぼゼロで買っちゃったんだけど、帯に、なんとポール・スロヴィックが言葉を寄せ…

害虫の誕生―虫から見た日本史

瀬戸口明久=著、ちくま新書 害虫は社会的に作られる概念である、という結論になるだろうな。・・・このように予想はしていたけれど面白かった。 昔は、もちろん虫は虫で、害虫なんて概念が存在しなかったし、イナゴのように大量発生する虫は、お札などで鎮…

ぼそぼそ声のフェミニズム

栗田隆子=著、作品社 ステイホーム中に丁寧に本を読む機会があったのだけど、さぼっていてこちらに記録していない。

むかしむかしあるところに、死体がありました。

青柳 碧人=著 これはヒット。 日本昔ばなしに殺人なんてあるわけなかろうと思って高を括って読み始めたらなんのなんの。 登場人物を把握して,伏線に目を凝らし,注意深く文章を読まないと犯人が分からない良質な推理小説になっていて,スリリングだった。 …

中華人民共和国史 新版

天児慧(著),岩波新書141 個性が強すぎる中国の支配者層.史実の起こった順番は覚えやすいから,あとはプレイヤーの名前を覚えたら俄然楽しくなる. 中国の急速な経済成長の理由は,(成長の初期に?)外資をうまく活用したこと.海外の投資家にとって魅力…

コンプレックス文化論

武田砂鉄(著),文藝春秋 コンプレックスに向き合い,しつこくマジメに議論した唯一の書.ツッコミポイントがくだらない!くだらないけど面白い.

科学技術の現代史 システム・リスク・イノベーション

佐藤靖=著,中公新書 衝動買いした一冊。著者の方は科学技術社会論のある意味本流を行くかた、と思うものの、日本では全然「売れない」だろうな。こういうヒストリアン的な仕事ができる人が日本に切望されているんだけど。 大変良い本だった。 アメリカの技…

死因不明社会 Aiが拓く新しい医療

海堂尊=著,講談社ブルーバックス

なぜ共働きも専業もしんどいのか 主婦がいないと回らない構造

中野円佳=著,PHP新書 仲野さんの文章はジャーナリステックなのに前向き.素直.事例が多く読みやすい.無駄に分断を煽ってないし,解決策を提示していて清々しい. (あれ?ということは,普通のジャーナリストの文章は私的には「文句ばっかり言って後ろ向…

住職という生き方

蝉丸P=著,星海社新書 ・弔いのステップをきちんと踏まないことは別の方面で結局コストが高くつく,理由は故人とけじめをつけることを曖昧にしていると,別の勢力がその”弱み”に付け込んでくるから.「あなたが上手くいかないのはお葬式をなおざりにしたか…

女子という呪い

雨宮処凛=著,集英社 ガチフェミ,だが教義に凝り固まることなく,半径10mに目を向けているので,共感できる. なぜ女なら○○でなければいけないの?おかしいことはおかしいと言う.もっと自分の生きたい方向性を追求してよい. ゴスロリ衣装が,モテとは無…

命の価値 規制国家に人間味を

キャス・サンスティーン=著,山形浩生=訳,勁草書房 VSL(統計的生命の価値)の実際の運用が深く知りたくなったので読んだ.実際,アメリカではコンフリクト,そこまでのものはなくても「みんな納得してないんだけどなぁ」ってことはないのかな?と思って…

文系と理系はなぜ分かれたのか

隠岐さや香=著,星海社新書 タイトルの「なぜ分かれたのか」という答えは最後まで読んでも出てこないので,これを期待して読むと「何言ってんのか全然わかんない」状態になると思う.しかし,大事なことは,過度に単純化しないこと.著者の潔い態度は好感が…

それでも,日本人は「戦争」を選んだ

加藤陽子=著,新潮文庫 序章のインパクト大.「戦争とは相手国の憲法を書きかえるもの」byルソー,←かっこよすぎません??18世紀の人間がこれを見抜いている. War Scare,という考え方.支配国と被支配国があるとこういう考え方が身近になる.「『普段虐…

戒名探偵 卒塔婆くん

高殿円=著,