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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

科学技術の現代史 システム・リスク・イノベーション

佐藤靖=著,中公新書
衝動買いした一冊。著者の方は科学技術社会論のある意味本流を行くかた、と思うものの、日本では全然「売れない」だろうな。こういうヒストリアン的な仕事ができる人が日本に切望されているんだけど。
大変良い本だった。
アメリカの技術の歴史(WWII以降)がポイントを押さえてまとまっている、私もこのくらいまとめて話せなければならないなあ、と大いに参考になった。
WWII中は、戦争に終止符を打つために開発された原爆の開発。その他、一連の軍事関連技術、その後冷戦時代になると、宇宙開発などソ連に勝つための技術。
原爆開発を経て、原子力の平和利用ということで原発の開発。
ミサイルからスペースシャトルへ。
情報戦を制するための通信技術から大型計算機とインターネットへ。
全部つながっている。
日本は、その間なにをやってたんだろう。戦後、まず重厚長大産業に集中投資があった。
これってしょせん、欧米の後追いだった。イノベーションじゃなくて単にブラッシュアップだったんだよね。
だとしたら、90年代からずっと、日本の科学技術が停滞しているように見えるのも無理がない。どうも、スケールが小さい。
今の中国が、50年代~の日本と(スピード感は全然違うけれど)同じ道をたどっているように見える。ということは、あと10年くらいで中国も停滞期に入るのだろうか。