Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

29歳問題

キーレン・パン(彭秀慧)=監督,2017年中国(香港)
クリッシー・チャウ(周秀娜),ジョイス・チェン(鄭欣宜)
朝日新聞別冊Globeか何かで紹介されていた.
何となくピンとくるものがあって,時間をやりくりしてYebisu Garden Cinemaまでお出かけして観た,その甲斐あった掘り出し物の映画.
元気がなくても広東語を聞くと瞳孔が開くのは,どうして?
このタイトルなら「アラサー」の人が見に行くと思うが,なんとなんと,2005年ごろにアラサーだった人の物語なのね.ということはジャスト私たちの世代,共感に次ぐ共感.
2005年ごろの香港,私は良く知らない.しかしこの映画の中で,香港人が英領時代を(すでに)懐かしく思っていることは分かった.
80年代と90年代前半・・・.一言でいうとあの熱気なのだけど,レスリー・チャンがまだ生きていて(全盛期!),ウォン・カーウァイが大流行りで,Beyondが熱唱し.みんな熱に浮かされたようなエネルギーを持っていた.
21世紀の香港は,枯れているというか,成熟期を迎え何か物足りない感じ.人もそうだけれど「街」の年齢が上がっている.
30歳を迎える主人公が,順調だけど何かが違う人生を送っていて,それって香港そのものなのでは?
一歩自由に踏み出す勇気を持った,もう一人の30歳を迎える女性(こちらの女優さんが完全に主人公を食っていた).これが憧れの象徴なのね(きっかけは・・・(ネタバレになるからここには書かないが)ちょっと反則かなと思ったけど).
映画の中で,レスリー・チャン主演の「落日のパリ」の話が出てくる.Google検索しても出てこない,日本には入ってきていない映画なのかな.中国語のWikiには「日落巴黎 (張國榮音樂特輯)」とあった.レスリー・チャン主演のミュージカル映画なのかしら.ヒロインはマギー(張曼玉)とチェリー(鍾楚紅)って,あ〜なるほど.