・国際学会のため,ケープタウンへ.ルートは,所要時間が最短という理由で羽田から香港ーヨハネスブルク経由.2回乗り継ぎは,学生時代に行った南米旅行以来で体がボロボロになるかと思ったが,今回そうでもなかった.機内の快適度は確実に上がっているようだ.航空会社はキャセイとブリティッシュエアウェイズ.座席もきれいで機内食が結構おいしかった.所要時間は行きが26時間くらい,帰りは24時間.
・ケープタウンは,思ったより普通のベタな観光地.しかも観光のレベルはかなり高め.夜遅く出歩くのは,複数人数でも,メインストリートでも怖いと思った,こんなことは南米ですら経験しなかったが,それ以外は快適なところだった.
・ホテルのロビーも部屋も,街ですれ違う人からも,ほのかに香水の匂いがした.体臭を消すためだと思うのだが,それが品があって,人との程よい距離感を保つためのツールになっていた.だから第一印象「あ~,私ここでやっていけるかも!」.
・食事はもしかしたら日本より美味い.お肉,お魚,味付けが「わかってるじゃん!」という感じ.「この素材,こうすると一番おいしくなるだろうな」,そう考えて作られている印象である.決して高級料理店だけじゃない,大体のお店でそうだと思う.あと,野菜と果物が本当においしい.そんなに高くない三ツ星ホテルの無料朝食が,日本よりおいしい.パンもソーセージも美味いのは想定内としても,野菜のグリルに,果物はイチゴ,キウイ,グレープフルーツ,メロン,パッションフルーツ(カット済み)が食べ放題で美味.おまけにチーズも食べ放題.アメリカの〇リオットや〇イアットなどの高級ホテルよりずっとずっとおいしい.少しは見習っていただきたい.
・そのため気が大きくなって,ついにやってしまった,海外でSushiを頼むという暴挙.握り寿司のネタはマグロ,サーモン,海老.海苔巻き(Norimakiで通じる)も同じネタ,ええと,感想は,ネタは日本と同じかそれよりおいしい!!でもシャリが酷い,米粒の立ち上がりが全くない.例えていうならオートミールを再度米の形に固めた白い何かってところ.SushiじゃなくてSashimiにすればよかった・・・
・欧州の意識が強く,チップ絶対の文化.忘れると嫌な顔をされた.観光客からの重要な収入と位置付けられているのか,もらおうと必死な人がいて,露骨さもあった.
・言語について.目についた注意書きなどの掲示板は二か国語が書いてあるんだけど,英語とオランダ語の併記だと最初思った.しかし,同じホテルに泊まっていて参加していた学会も同じだったオランダ人女性研究者と雑談して,「オランダ語じゃなくてアフリカーンス語」ということを教えてもらった.「私は小さいころ南アフリカに住んでいて,小学校の時にオランダに帰った」「アフリカーンス語はオランダ語にとても似ているんだけど,オランダ語の動詞の活用(格変化?)をもっと簡単にしたものなんだよ」「オランダに帰った後,オランダ語の文法をマスターするのに苦労したから」等々の話を初対面でいきなりしてくれて面白かった!.(こういう時,私は気軽に声をかけてもらえる性質で,この点はトクだなと.)彼女,私に質問「日本語と中国語はどちらが難しい?」私「いや,難しさの方向性が違うので比べるのは難しいな」こんな会話も.
・学会で衝撃だったことは,北京市の環境研究所(←名称は微妙にぼかすが)の所長が,基調講演で講演したのがなんと中国語だったこと!助手が英語に逐次通訳するスタイル.なかなか衝撃だった.ここが中国ならわかる,しかし,ここは南アフリカです!!その所長の中国語のプレゼンが実に堂々としていたのはむしろ感激ポイント.拙い英語で堂々としている各国のトップはたくさん見てきたが,中国語プレゼンは,朗々と詩を暗唱するような圧倒的な迫力だった.自分の国に誇りを持っていて,しかもアフリカでそれをアピールすること.意図は十分伝わったけど正直「何を企んでいるのだ?」と感じざるを得なかった.あと,アフリカと中国の近さを見せつけられ,中国がアフリカに多大な影響力を持つぞ!とアピールしている感じもあった.近い将来,中国語が理解できないと研究できない時代が来るかもしれない,ということすら私は考えたよ.【追記:帰国して同僚の中国人研究者にこのことを話したら,「それは彼のパーソナリティーで,非常に特殊なパターン.一般的にはそういう場では英語でプレゼンするよ」と返されたけれど...】
・観光はミニマム.水族館と,大西洋の夕陽を見ながらのフェリー.楽しかったので再訪の妄想をば(家族でサファリキャンプなど.ガオ~)
・トランジットに使ったヨハネスブルクのO.R.Tambo空港について少し.空港の雰囲気はケープタウンとは違う.ケープタウンはお金持ちリゾート感が漂っているのに対し,ヨハネスブルクは,アフリカの玄関口で,逆に言うとアフリカから世界に向かって戦いに行く人の出発口という感じ.O.R.TamboのDeparture表示はNairobi行きがバンバン出てる!行き先の地名が,アフリカのどこかなんだろうけど,聞いたことないとこばかりで全然わからない!(マジでAccraぐらいしかわからない)発着する飛行機もAir Namibiaとか,見ててアドレナリンが出る!久しぶりに胸がキューっと締め付けられるような武者震いと共に「私,遠くに来たんだ!」という高揚感があった.ずっとずっとこのDeparture表示を見ていたいと思った.
以上,スピッツのアルバムを完全シャッフルにして聴きまくりながら,O.R.Tamboにて記す.