Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

スラムドッグ$ミリオネア

ええええ〜〜っと強烈な衝撃.初めてインド映画を観たときよりも衝撃.
すごい疾走感と非現実の(注:インドでは現実の)映像には夢遊病にさせられたかのように一気に引き込まれた.
テイストとしては「イージーライダー」のアウトロー感と「恋する惑星」の疾走感,フワフワ感(ハンディカムでの撮影ってところが共通しているだけかも)を混ぜたような(王家衛の初期の映画と似てる,スケールは全然違うけど).ストーリーは確かにエンタテインメントなんだけど・・・・
この映画がアカデミー賞総なめとは,アメリカも変わったよなあ.
そう思う理由:
1)全編インドでのロケ.インドの現実を,わざわざ映画で,誰が観るだろうか?いや,アメリカ人が,しかも興味を持って観るんですよ,そういう時代なんですよ.
2)UK資本の映画である.いや〜アカデミー賞ってアメリカ映画のみが審査対象だと思っていた.監督のダニー・ボイルはイギリス人.
3)着眼点が従来と違う.インドの混沌や格差,闇の部分そのものを素材にした(フィクショナリーな部分はそれほど面白くなかったし,工夫もそんなにないと感じた).しかしそれで映画界で最高とされる賞がとれるんだ!アカデミー賞の審査員も変わってきたよね.

やっぱり,こういう映画作ったことは素直に偉大だと思う.ムンバイのスラムの映像をフィルムに焼き付けて全世界にメジャーな手段で発信するなんてことは思いつかないし,出来ないよね(インドでの路上ロケの困難さは有名).
イスラム教徒に対する襲撃,スラム生活,物乞いビジネス.そしてアミターブ・バッチャン(笑).
スラムを俯瞰したアングルが,だんだん引いていく,あれがムンバイの現実だったんだね.私もインド映画はかなり観ているけど,大富豪の夢のような生活を描いたものばかりで,こういう現実は初めて見て,しかも観光で行っても絶対見られない負の部分で(あ,見ちゃったら生きて帰って来れないでしょ)勉強になった.すごい勢いで開発が進んでいると思うけどムンバイ行きたくなった!
久しぶりにヒンディー語(マラティー語?)聞いた.心はやる言葉だね.クイズミリオネアの司会者もヒンディー語と英語がチャンポンでウケた.Yesという意思表示のとき,首を横に振るし(笑)
<映画の中でゲットした単語>
チャイワラ・・・チャイを運ぶ人