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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

米国NUREG 安全目標の階層化

山口彰・菅原慎悦・竹内純子(2018)、「安全目標」再考―なぜ安全目標を必要とするのか?、弥生研究会UTNL-R-497、2018 年3 月.

この論文面白い。安全目標について日本で一番詳しい記述かも
NUREG-0880にある米国の安全目標の階層化について。

米国では、米国民が晒されているあらゆる事故による急性死亡のリスクを基準とし、「原子力施設の事故によって生じる可能性のあるリスクの増加はその0.1%を超えてはならない」、との目標を定めた(参考資料1)。これを具体的な設計目標に展開するために、米国の死亡統計データに基づき、基準となる急性死亡のリスクを算出し、原子力施設が目標とする急性死亡リスク(<5×10-7/年)、晩発性ガン死亡リスク(<2×10-6/年)を求めた。それらを達成するための、事故時の放射性物質の放出量制限を定めたうえで、各施設における設備の設計目標を、安全目標の中間的な代替数値目標(炉心損傷頻度(CDF)<10-4/年、大規模早期放出頻度(LERF)<10-5/年)として設定している。各階層への展開は、数値根拠とともに論理的説明がなされている。

NUREG-0880 R1 for Comment, “Safety Goals for Nuclear Power Plant Operation”