Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

ウエストサイド物語

ロバート・ワイズジェローム・ロビンズ=監督,1961年米国
ナタリー・ウッド,リチャード・ベイマー,リタ・モレノ,ジョージ・チャキリス

これも2回目.1回目は中3のとき,東京の丸の内東映パラスあたりで(ちゃんとお金を払って)観たもの.
今見ると,ほんっとに面白かった.時を経て,(自分が)スペイン語を理解できるようになり,様々なミュージカルを見た蓄積,ニューヨークに行った経験などがあって,それをもとに考えながら観ると深い.
単にロミオとジュリエットのリメークじゃなく,イタリア系移民とプエルトリコ系移民の対立というアメリカ(ニューヨーク)が抱える問題が,きちんと映し出されていることに驚く.
イタリア系の不良集団は「ジェット団」,テーマカラーは黄色,リーダーはリフ(←こちらはカッコイイと言うより渋い).
プエルトリコ系のは「シャーク団」,テーマカラーは紫,リーダーはベルナルド(←めっちゃカッコいい!).
ただ,価値観がずいぶん古臭い.戦いは男のもので,ショートカットの少女が自分も戦いに入ると言っては軽くあしらわれていた.不良集団のリーダーには必ず彼女がいるのも時代だなあ(日本の暴走族全盛期の構図と酷似).
総天然色なのに1961年公開だったのかー,もうすこし新しいと思っていた.確かに,トニーが運ぶコカ・コーラのカートンが50年代後半くらいのスペックの低さだわねぇ.閉口したのはタバコ.屋内でも,車内でも,踊りながらでも,みんなスッパスパ吸っていて,画面がケムいだけで私は「オェー」(笑).NYC警察も面白いね.ストリートのバスケットコート(舗装された空き地にある)は,今もNYCにありそう.建設途中の地中埋設管は,何の共同溝だろう?
15歳で観たときは,俳優たちが突然踊りだすのに違和感しか感じなかったけど,インド映画を山のように観てきた今だと,むしろこれは全然マシな方だと思えた(笑).とにかくみんな踊り上手い,体が綺麗.
しかし当時と同じ感想もあって「ジョージ・チャキリスがめっちゃカッコいい!マジ好み!!」「トニー,(甘いマスクだけど)実はバカなの?恋にあまりに盲目すぎじゃね?」
マリアの気を引きたくてトニーは一生懸命スペイン語を喋るが,あっさり直されている.
マリアが働く仕立て屋(Bridal Shop: Lucida's)でのシーンは泣けた.架空の結婚式を二人で.
プエルトリコ系移民たちは1棟のアパートに集まって住んでいて,その作りはヒッチコックの「裏窓」だなーとか,マリアのお祈りはスペイン語で行われるんだなーとか,重層的に楽しめたのは,私が年齢を重ねたことも感じたけど良かった良かった.