タルザン&アラブ・ナサール＝監督，2015年パレスチナ，フランス，カタール合作
（あらすじ）パレスチナ自治区、ガザ。クリスティンが経営する美容院は、女性客でにぎわっている。離婚調停中の主婦、ヒジャブを被った信心深い女性、結婚を控えた若い娘、出産間近の妊婦。皆それぞれ四方山話に興じ、午後の時間を過ごしていた。しかし通りの向こうで銃が発砲され、美容室は戦火の中に取り残される――。（公式サイトより）
これは，インパクト大．平和を願わずにはいられない．戦争は絶対嫌だ，とひっさしぶりに強く思った．一度は結婚を考えた恋人．性格が悪くてルーズで威丈高，だから結婚に踏み切れない．でもそんな男でも，戦いで死んでしまうのは耐えられない．切なすぎて切なすぎて．
戦火の中でも女性たちは何気ないおしゃべりを楽しむ・・・宣伝にはそうあったから，気楽な気持ちで観たら・・・とんでもない！自分の平和ボケ―これは日本に住んでいる限り仕方のないことなのかもしれないけど―にいたたまれない気持ちになった．
個性的で”ヒステリー”な美容室の客たちに感情移入はしかねたけれど，結婚式のためのメイクと着付けに来ている花嫁さん，外で銃声が鳴り響いても，停電でも，美しかったなあ．．．美容師さんはロシアからの移民で，娘と会話するときだけはロシア語．お客さんに「なんでこんなとこ（ガザ）に店持ったの？」「ロシアに帰ったら？」と悪気なく言われるけど「ここでの生活も長くなったし・・・」とやんわり返しているのが深い．ロシアもしんどかったのかな？と思うと胸が熱くなる．ガザはアラビア語が話されるようだけれど，トルコ語の音だった．
最後にもう一度，戦争に正義なんてない．
