Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

クレッシェンド 音楽の架け橋

ドロール・ザハウィ=監督、2019年ドイツ
ペーター・シモニシェック、サブリナ・アマーリ、ダニエル・ドンスコイ
これもまた、えらく重~い話。
イスラエルの”平和”オーケストラの団員たちの物語。パッヘルベルのカノンが無限リピートする。
心を開きあう「ワークショップ」で、ユダヤ人とパレスチナ(アラブ)人が本気で罵り合って、即座に殺し合いが始まるんじゃないかと思った。人間ってこんなに憎み合えるのかと。
それでも希望が膨らむラストシーン。壁を隔ててラヴェルボレロは泣けた泣けた。リズムは一定(=人間は結局皆同じ)、その上にいろんな楽器が乗って個性が融け合うことを象徴しているから。
最初、エルサレムで練習していたが、ここでは和解は訪れないと、急遽、永世中立国のスイス・南チロル地方で合宿を行うメンバー。
パレスチナではヘブライ語イスラエルでは英語話者が多いので、そこからして溝が浮き彫りになるのが、本当に切なかった。
ということで、ドイツの映画だけど、めっちゃ多言語。ドイツ語、英語、イタリア語(空港)。チロル地方は独特の文化があり、第二次世界大戦でも、ナチスに侵略されなかったらしい。平和には第三の言語というか、多言語が共存することが必要なのかも。