Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

クヒオ大佐

吉田大八=監督,2009年日本
結婚詐欺師のお話.堺雅人満島ひかり,児島一哉(アンジャッシュ),すごくよかった.
米空軍のパイロット,クヒオ大佐は「生まれも育ちもよくお金を持っている」ふりをして女性に結婚を持ち掛け,女性からちょっとした額のお金を借りまくるんだけど返さない.堺雅人が演じるクヒオ大佐が,なんともいい人で品があって,結構面白く見た(堺の鼻が高いのは特殊メイクらしく,そこも面白がるポイント).クヒオ大佐の嘘はわざとらしく穴だらけで,それを相手の女性にだんだん見抜かれていく様子も憎めない.騙される女性側の描かれ方も面白くて,「騙されるなんてばっかじゃないの?」と単純に切り捨てできないのだ.
湾岸戦争のころの話.横須賀?から米軍が旅立つ設定かな?,米軍の制服レプリカを売っている店があるのも面白いね.アメリカは兵士を出して人命を守っているんだ!という「世界平和」もキーワードだった.どこまでが実話でどこからが作り話か,どこからがファンタジーか?描写には真実味と嘘くささの両方があった.人ってこんなに簡単に演技できる(=嘘を言う)んだ〜って,面白かった.
映画レビューサイトでは,この映画,意外にも割と酷評されているのよね.それを見てからだったらこの映画絶対観なかっただろう.
逆説的だが,映画レビューサイトがあることで最近映画を観なくなっている自分に気が付いた.少しでもネガティブなことが書かれていると「観るだけ無駄じゃん」,逆にポジティブなことばかりだと「サクラが書いてるの?」,どちらでもないときは「レビュー読んだだけでなんとなくお腹いっぱい」・・・等々.サイトがなかったころはこんなこと思わず,自分の嗅覚だけで突き進んで行ったから.前情報を入れないことも大事だ.