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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

万引き家族

是枝裕和=監督,2018年日本(ギャガ・コミュニケーションズフジテレビジョン
女性と少年を描かせるなら是枝裕和さんである.・・・またも,こうつぶやかざるを得ない.
「誰も知らない」に比べて,絵が明るく相当に分かりやすい.リリー・フランキーの明るい演技も相まって幸せで明るい「家族」.虐待されていた子も,ここに来たらどんどん明るくなっていくのは,切なくもリアリティがあった.
「家族」で海に行ったり隅田川の花火の音を聞いたり,おばあちゃんが服を縫ったり,夫婦でそうめんを食べたり・・・万引き以外のモチーフが強く印象に残るので,タイトルはどうでもよく思えるほどである.
安藤サクラ樹木希林の迫力はもう,あまりにもあまりにもである.特に安藤サクラは映画賞で女優賞を取ると予想する.比べてしまって申し訳ないが松岡茉優さんは,この二人が凄すぎてまだまだ甘ちゃんだと思わされる.海街diary風吹ジュン樹木希林と若手女優4人の印象も同じだった.だから,是枝さんは女性の中でも特に「年季の入った」女性の描き方が格段にうまいのであるな.
安藤サクラの最後の方の表情を,すべての人に観てほしいと思った.圧巻.私はこの表情だけで,帰宅してから思い出し泣きをしてしまったほどだ.拾ってきた子に本当の両親の情報を伝える場面.すっかり母としての顔なのである.腹を痛めてなくてもあの表情なんだよ?息子って,自分が産んだ子だけじゃないよ,どれだけ愛しているかなんだと.(逆もあり,腹を痛めて産んだ子でも・・・).
そして少年,祥太役の俳優さん誰だろ?柳楽優弥さんより目線は少しノーマルだけれど,よくこんな印象的な子見つけてくるなあと感心することしきり.