Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

ハーモニー 心をつなぐ歌

カン・テギュ=監督,2010年韓国作品

米テレビシリーズ「LOST」などで知られるキム・ユンジンが主演するヒューマンドラマ。18カ月後には子どもを養子に出さなければならないジョンヘや家族に見捨てられた死刑囚ムノクは、刑務所内で合唱団を結成することに。歌うことを通して人生をやり直そうとする彼女たちに、やがて奇跡が起こる。

久しぶりに映画館で観た.銀座四丁目のシネスイッチ銀座2(←学生時代毎週のように通った元「銀座文化」!)にて.
この設定は,説明の必要がないくらい泣ける.1歳半の我が子と永遠の別れなんてありえないでしょ?!Trailerを見て,これは感情移入しすぎてまずい(=社会生活を送れなくなる)かもしれんと思って覚悟して観に行った.
Trailerのイメージとは違い,ある種の群像劇.今の私の気分にはフィットしたし,思ったより涙ダダ漏れでなく正直ほっとした.
まず,主人公が獄中で産んだ男の子(を演じた子役)が,とっても可愛かったけどうちの長男と顔やイメージが全然似てなく,それであまり泣かずにすんだっていうのが大きい.
映画全体の作りも日本映画と比べると粗めで,突っ込みながらだったので,っていうのもある.素人合唱団がどんどん上手くなる様子を日本映画だったら丁寧に描くのに,そのへん素っ飛ばす.韓国人がせっかちなの分かる.その割に不要なシーンがあり,美人な看守コン嬢は演技が下手だし.そして,主人公は辛いシーンでも冗談を言って笑顔(ときにバカっぽくさえある).日本映画だと,こういう真の感情と裏腹の表情の時さえ泣けるのに(演出が細かくて真意が伝わるから),この映画はそこまで伝わらない,つまり粗い技量だということ.
しかし,これらの点が全部クリアされていたら一生分の涙を流していたかもしれん,ってくらい題材は強烈だった.まず,熱い.女どうしで取っ組み合いとか.ビンタも久々に見た.平成の日本映画でビンタはありえない.
あまり泣かなかったとはいうものの,ず〜っと泣いててもおかしくないくらい泣きどころはたくさん.受刑者一人ひとりが自ら犯した罪を合唱団仲間の前で開示しちゃうところで,さらっとしてるけど私は大泣きしてしまった.最愛の息子と別れる日もお約束のお涙シーン.
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主人公を演じたキム・ユンジンは,「シュリ」よりず〜〜っときれいだった.シュリのときは,北朝鮮のスパイ&天才スナイパーで怖かったのよね.韓国映画で困るのは,女優たちがあまりにもきれいなので私も何とかしなきゃ〜とついじたばたしてしまうところ.結局「元が違う」とか色々言い訳してゴニョゴニョ・・・