Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

国民栄養調査をリスク評価に使うときの注意

食品経由のリスク評価には,個別の食品の摂取量データを使わなければならないが,注意しなければならないと思ったことの覚書.これは何年か前,オランダの研究者と議論したとき気がついた.主題は2次元のモンテカルロシミュレーションだったのだが.
オランダでは年1回,同一人の連続した2日について(陰膳方式で)調査しているとのこと.この2日間の平均を摂取量とする.調査の季節は不明だが,日本ほど食生活が豊かでなく四季折々の食事を楽しむということはないだろうから,季節による変動はないのだろうな,と想像する.翻って日本では年1回1)秋に2)1日のみの調査である.
これはどういうことかというと,
1)秋に食べるものしか数値として現れない.ま,秋にしか食べないものって慢性曝露ではないから,この点ではあまり問題にならないだろう.ただ,リスク評価には「秋のその1日に食べた量」イコール「年間平均して食べる量」となってしまうから,マイナーな食品の場合は注意.
2)1日だけのデータということは,その調査の日に全く食べなかったり,極端に多く食べた食品についてはそのままのデータとして処理されているということ.普通は前日に大量に食べたものは次の日には控えよう(昨日はパンだったから今日はうどんが食べたいな,とか)となる.被験者全員で統計処理すれば平均値としては正しいが,1日だけの調査の場合分散(標準偏差)は大きく出てしまうことに注意.
いずれにせよ,食生活が豊かであればあるほど,リスク評価に使うには悩ましいものだな.