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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

未来への経済論―映画で読み解く私たちの行方

小村 智宏 (著) ,弘文堂

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4335450281/249-5457525-9845900

朝日新聞斎藤美奈子が書評を書いていたので,速攻アマゾンで購入.危険・・・

装丁がおしゃれ.下1/4が空欄になっていて,映画データが挿入されている.オールカラー印刷であることを発見.この値段でよく出版できたものだ.・・と,ついつい出版社側目線で見てしまう.

取り上げられている映画を私も半分以上観ているので,それだけでも著者にめちゃくちゃ親近感が湧く.著者の年齢を見てびっくり,かなり若いではないか.しかも,新しいのからクラシックまで広く観ている,私と方法がすごく近いので,この方と話をしてみたくなった.肩書きが「三井物産戦略研究所」なので,リタイアしたおじいちゃんを勝手に想像していたのよね.

内容は,分かりやすくて☆4つってとこかな(☆−1の理由:「ここでのポイント」が,あからさまなコピーペーストでくどいため).

エデンの東」の,キャルの先物取引を経済活動として捉えるっていうのは面白かったぞ.経済の発展と環境問題とのトレードオフのあたりの解説は,ステレオタイプではあるが,映画なんてある程度はステレオタイプ,デフォルメなので,問題意識を持つ導入としてはとても良いと思う.

一番良かったのは,「真昼の決闘」を題材とした「社会的合意形成の難しさ」.「大局的見地に立って」と称する問題先送り.政府系の企業に勤める私としては頷きながら読むことしきり.「完璧な制度は見つからない」,けど生きるのを止めるわけにはいかない,現実とどう折り合いをつけるか,そして,理想の方向へどう足跡をつけていくか.私の今の仕事とも相通ずるものがある.「真昼の決闘」は観ていない,今度観なくちゃ.