Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

ニノチカ

エルンスト・ルビッチ=監督、1939年米国
グレタ・ガルボ、メルヴィン・ダグラス
歴史に残る名作。これは良かった!!!
あのツンツンしたガルボが口いっぱい開けて笑うシーンは、見ていて幸せになった。そして、共産主義体制にどっぷり浸かっていても人は笑うのだということ、すごい風刺よね。笑いはこんなにも味わい深いのね。
エッフェル塔をはじめ、パリの観光案内になっているのもgood。労働者の食堂(例の、テーブルがドリフ並みに倒れる)も、パリの下町!って感じだし、パリで流行のファッションも楽しい。特にアールヌーヴォーの帽子、「こんなものを女にかぶせる文明は滅びる」と言っていたニノチカガルボ)が次のシーンでかぶってるのが良かった。
共産主義しか知らなかったニノチカ。「山羊の乳で育ち、お酒といえばウォッカ」だったのがシャンパンの味を覚えるー!資本主義を過度に礼賛しているのも今見ると味わい深い。でも、レオンからの最後のプレゼントが山羊の乳、ニノチカの言葉を細部まで覚えていてくれる男に落ちないわけがない。
ニノチカが部下の男三人組にCommrad!(同士!)と呼びかけるのも好き。最初、帽子はロシア風に毛皮帽だったのに、パリに来たらシルクハットに変わるのも、あっさり資本主義に取り込まれるのをこの描写だけでうまく表していて好き。この男三人組がやたらとコミカル、これはビリー・ワイルダーが脚本書いたからかぁ。男が軽妙に喋りまくる脚本を書かせたら、ワイルダーの右に出るものはない。
ちなみに、ルビッチの綴りはLubitsch、発音するならルビッチュ。ドイツ風なのか。