Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

ロスト・イン・トランスレーション

ソフィア・コッポラ=監督、2004年米国・日本
ビル・マーレイスカーレット・ヨハンソン
てんで期待せず鑑賞したが、面白かった。一説によると、この映画のお陰で欧米から日本への観光客が増えたのだとか。渋谷のスクランブル交差点を一度この目で見たい!という外国人が多いのはこのせいだったのかー!新宿のパークハイアット東京もこの映画で外国人に有名になったらしいし。
日本語しか通じないミステリアスな都市・東京が、豊かなのに孤独を感じさせる装置として効果的。昼間の光もバカンスのような明るさはなく、夜は妖艶。
日本でのアバンチュール(ただし純愛)、というのもミステリアスさに拍車をかけている。
主人公たちは、時差で頭がぼんやりしていて、何をするにも夢見心地なのかも。映画全体のトーンがまさにそんな印象だし。だとするとこういうアバンチュールはあってもおかしくないかな(←おい)。
外国人が撮影した東京の風景は日本人が撮影するのとどう違うのか、という整理も面白そう。2003年頃の映像にしては光が弱いせいか、「枯れている」ように見える。それとも、この頃の東京は実際こんな光の色だったのだろうか。私個人としては、このころあまり出歩いていないので東京の風景は記憶にない。その10年前だったら、もっと明るくきらびやかに撮られると思うのだが。外国人が東京を撮った映画でもう一つ、「ERLEUCHTUNG GARANTIERT(MONZEN)」という1999年のドイツ映画を思い出した。こちらは世紀末、ぎらついてカオスだが、どこか気怠い東京の映像だった。
超高級で知られるパークハイアット東京も、映画では、あまり魅力的なホテルとして撮られていなかったのは面白かったな。このグレードは欧米では三つ星くらいの感覚なんだろうな。