Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

14歳の栞

竹林亮=監督、2020年日本
14歳、中学二年生。とある公立中学校の1クラス全員、35人の3学期に密着。
いや、この映画、良く撮れたね。良く成立したね。奇跡だよ。奇跡を見せてもらった。
私の中二は、もっと暗くてつらかった、もちろん、楽しいこともあったけれど。クラスでのいじめ(私も一瞬だけターゲットに)、女子の対立が凄まじかった。対立を止めようとして良かったことは一つもなかった。教室や職員室で泣き崩れたこと数回。音楽の時間、わけもなく涙が出てきて歌いながら泣いたこと。でも、そういう子私だけじゃなかった。みんな何かを我慢していたんだと思う。担任の先生からは贔屓されていて、度々相談に乗ったり。担任の生徒というより少し上の精神年齢と扱われていたのか。もう時効だから書くと、先生から「クラスのことで聞きたいことがある」と誘われて、海岸までドライブして、お茶をごちそうになり、家まで送ってもらったことがあった(やましいことはしてない)。その時の会話も、感情が死にすぎていて、「ふ~ん」「私だってつらいのに」「先生何もわかってないじゃん」という負の気持ちが先に立っていた。そういう特別扱いを喜んでもよかったのに、私もみんなと同じように扱ってほしかったんだよね。日本海に沈む夕日がきれいだったことを鮮明に覚えているだけ。
自分のことを思い返すよりも、この尊い子達、35人のことを思い続けていきたい。とすっかり親目線。また、担任の先生が出てくるシーンはもれなく泣いた。私くらいの歳になると、先生に対してもリスペクトしかない。
中学の頃は、人を信じるって言われても、本当に「ケッ」で、噓くさい陳腐な言葉だと思っていた。今は違う。私も成長したし、成長するにはまず生きていなければならないから、生きているって無条件に素晴らしい。