Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

モロッコ、彼女たちの朝

マリヤム・トゥザニ=監督、 2019年モロッコ
ルブナ・アザバル、ニスリン・エラディ
人生初のモロッコ映画。素晴らしかった。未婚の母に対する悪口と差別がすごい。女が女の悪口を言う。ああ、こういう社会なんだなー。
私も妊婦だった時のことを思い出し、必死で観た。
アブラの娘、ワルダが人懐っこくて可愛すぎ。産まれてきた赤ちゃんも可愛すぎ。
カサブランカのバザールとバスターミナルの雰囲気が好き。
パンの美味しそうなこと。パン生地を細長く、麵のように延ばして手に巻いてつくるのは、ルジザ。クレープというか、チャパティみたいなパンは、ムスンメン。見かけはビスコッティのようなフッカス。
毎日終業後に店を掃除し、自宅の台所も料理後は掃除する。パンを作るシーンと掃除のシーンが良くて。主人公のきっちりしてきれい好きな性格を表している。
お祭りのとき、特別な粉菓子を大量に作って売って、人々も大量に買っていくとか、良かった。
家の中の光の加減なのか、レンブラントの絵画、という感想が多いのもうなづける。日差しが強いので家の壁は厚く、窓が小さくできているからあのような明るさになるんだな。
そして、大学生らしい若い女性たちは髪にスカーフを巻いただけ、スリムジーンズにリュックで青春を謳歌している。ムスリムの戒律が緩そうな社会ではあるが、それでも未婚の母のサミアへの仕打ちは辛いものがあった。
画、人物、ストーリーのすべてで心をつかまれ、開始5分後からずっと泣いていた。

公式WEBより、あらすじ。

臨月のお腹を抱えてカサブランカの路地をさまようサミア。イスラーム社会では未婚の母はタブー。美容師の仕事も住まいも失った。ある晩、路上で眠るサミアを家に招き入れたのは、小さなパン屋を営むアブラだった。アブラは夫の死後、幼い娘のワルダとの生活を守るために、心を閉ざして働き続けてきた。パン作りが得意でおしゃれ好きなサミアの登場は、孤独だった親子の生活に光をもたらす。商売は波に乗り、町中が祭りの興奮に包まれたある日、サミアに陣痛が始まった。生まれ来る子の幸せを願い、養子に出すと覚悟していた彼女だが……。