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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

男はつらいよ 寅次郎相合い傘

山田洋次=監督、1975年日本(松竹)
渥美清倍賞千恵子浅丘ルリ子
スピッツの三輪さんが、とある番組で「家に遊びに行くと寅さんのビデオを強制的に見せる友達がいるんですよ(笑い)」と語り、特に印象に残っているのはこの作品で、「メロンの話題で喧嘩するところ、何回見ても面白い」とコメントしていたのでNetflixで鑑賞。
確かに面白い!!そして、いくつかのシーンで泣いた。
この作品が名場面ぞろいの寅さんシリーズの中でも屈指の名作と言われるのもわかる。ヒロインは浅丘ルリ子演じる、「リリー」。

寅さんは、謙次郎(船越英二)という変わり者のおじさんと北へ向かう旅をしていて、函館でリリーと偶然再会。3人の小樽までの珍道中もかなり面白い。
もちろん、柴又のとらやで繰り広げられる「メロンを寅さんに分けてあげるのを忘れた」という非常に些細な(寅さんにとっては些細でない…笑)事件から広がる台詞の掛け合い。泣いた。
相合い傘のシーンもよいが、さくらがリリーに遠慮がちに「お兄ちゃんと結婚してくれたら、どんなに嬉しいか」と言う、リリーがOKするシーン、大号泣しちゃった。なんでだ。。。

プロローグが「シンドバッドの冒険」の映画を見ていて眠ってしまった寅さんが見た夢。寅さんがもちろんヒーロー、海賊船の船長になって、奴隷船を救って故郷のカツシカ島(シバマタ港)に帰る。海賊船船員の源公(佐藤蛾次郎)も新鮮、奴隷船にさくら(チェリー)、博、おいちゃん、おばちゃんも乗っていて、笑った。これでつかみはOKというか、しょっぱなから名作の予感しかしなかった。
現実の柴又のシーンは、エリザベス女王のパレードをTVで観ているとらやの店内から始まり、見事。

リリーのセリフはすべて良いが、昭和50年なのに、「女はどうしてかわいくなくちゃなんないんだい」。素晴らしかった。
小岩から金町行きのバスに乗って柴又三丁目で降りる、リリー。庶民的な風景もグッときます。