Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

さびしんぼう

大林宣彦=監督,1985年日本(東宝
この頃の富田靖子を大絶賛していた友人(3つくらい年上,男性)のススメ?で.
確かに富田靖子は可愛い,しかし,この映画というか大林宣彦監督の,自分語りチックなのはちょっと苦手で☆2.5くらい.
時々支離滅裂(藤田弓子が暴れたりとか),さびしんぼう役の富田靖子が妖精のようでいてリアリティあふれるような中途半端感があったり,高校生男子の母親との距離感が面白いんだけどクサイとか.こんな感じで今ひとつ現実味がなくて入り込めなかったので,評価は辛くした.画面をわざとセピア色にするのも個人的には苦手.
ただね,さびしんぼうのパンダ目メイクが涙で崩れるシーンは本当に良く撮れている(これは奇跡?計算された演出?).黒い涙の流れるスピードも絶妙で,日本映画の記録に残る名場面じゃないだろうか.

いくつか面白かったこと.ディテールは本当に面白かった.
・第一印象「どっかで見たことある,ガルルル…なんだったっけ?」.
観ながらずっと考えていて,ハタと「青春デンデケデケデケ」とそっくりじゃん,と思った.やっぱり監督が同じだった.自分の頭の中の類似度検索は結構当たる.(というよりも,そもそも大林監督が作る映画はどれも,テイストも設定も似すぎかも.例えて言うなら,あだち充の漫画で話が違っても主人公が同じ顔,もっと別の顔描けないの?みたいな)
尾道の風景
温かく優しい,そして懐かしい風景.みかんがたわわに実る.高校生が船で通学.ノスタルジックという意味でもそうだけど,私自身がちょうどこの映画の撮影の頃(1985年2月か3月)尾道に遊びに行っているから共感できたのかも(住んでいたのは広島市),すごいデジャブ感だった.
小林聡美が全然変わっていない
今のほうがむしろ美人になったか,でも声はまるきり同じ.この映画では怪演.小林聡美って出演シーンが短いのに強烈なインパクトを残すという意味で,トクな女優さんだ.
・禅寺
絡子のデザインから曹洞宗ではないことはわかる,調べてみたら臨済宗だった.禅寺の装備や調度品はウチと相当似ている.あと,般若心経とショパンって意外とマッチするものだ,ちょっと監督の趣味に走り過ぎだけど.
富田靖子石田ひかり
大林監督作品はもう一本「ふたり」を観ていて,途中からこの映画とも混じってきた.とくに富田靖子石田ひかり(「ふたり」の主人公役)の不思議で儚げな感じが結構似ているのだ.こういう女優が監督の好みと見た.