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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

燃料アンモニア関係

アンモニアの舶用燃料使用における安全性評価プロジェクトに参加(日本郵船プレスリリース2021年04月21日)
https://www.nyk.com/news/2021/20210422_01.html

4月19日、当社はアンモニアを舶用燃料として安全に取り扱うためのガイドライン作りに向けたプロジェクトに参加しました。IMO(国際海事機関)が定める2050年にGHG(温室効果ガス)排出量を半減する目標の実現に向け、各国の主要企業と協働して安全評価の実施などに取り組みます。

アンモニアは燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しないため、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として期待されており、さらにアンモニアの原料となる水素にCO2フリー水素(注1)を活用することでゼロ・エミッション化の実現が可能と言われています。一方でアンモニアは高い毒性を持つことから、舶用燃料として使用する際の安全評価を行い、その技術的なガイドラインを策定することが重要な課題になっています。

当プロジェクトは、これらの課題を解決するために立ち上がったもので、アンモニアを燃料とするコンセプト船の設計を検討する過程で、人体や船体設備、環境への具体的な安全性評価を実施し、アンモニアを使用する際の安全ガイドラインを策定することを目的としています。 当プロジェクトはLloyd’s Register(英)及びMaersk Mc-Kinney Møller Center for Zero Carbon Shipping(注2、デンマーク)が共同で主宰し、当社のほか、A. P. Moller-Maerskデンマーク)、MAN Energy Solutions(独)、Total(仏)、三菱重工業㈱がメンバーとなり、2021年4月に活動を開始しました。

当社グループは、ESGの経営戦略への統合を更に加速させることを掲げた、「NYKグループ ESGストーリー」を2021年2月3日に発表しました。2050年までに輸送単位当たりのCO2排出量を半減させる環境経営目標を掲げており、当プロジェクトへの参加もその一環です。当社グループはESG経営を力強く推し進めるべく、「Sustainable Solution Provider」として新たな価値創造を推進してまいります。

(注1)CO2フリー水素
CO2を発生することなく生成した水素。CO2フリー水素を生成する方法として、再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱等)を活用して水素を製造する方法や、化石燃料天然ガス・石炭等)を活用し、発生したCO2を回収・貯蔵して水素を製造する方法などがある。上記の方法により生成された水素を原料とするアンモニアはCO2フリーアンモニアとされ、燃料や水素のエネルギーキャリアとしての活用が期待されている。

(注2)The Maersk Mc-Kinney Moller Center for Zero Carbon Shipping
海事産業の代替燃料変換による脱炭素化を促進するために2020年に設立された研究センター。当社も創立時から参加している。

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~燃料アンモニア安定供給と外航船舶ゼロ・エミッション化への世界初の取り組み~(日本郵船プレスリリース2020年08月12日)
www.nyk.com
日本郵船株式会社
ジャパン マリンユナイテッド株式会社
一般財団法人日本海事協会
8月6日、日本郵船株式会社(以下「日本郵船」)、ジャパン マリンユナイテッド株式会社(以下「ジャパン マリンユナイテッド」)、一般財団法人日本海事協会(以下「日本海事協会」)の3社は、アンモニアを主燃料とする液化アンモニアガス運搬専用船(AFAGC: Ammonia Fueled Ammonia Gas Carrier)及び浮体式アンモニア貯蔵再ガス化設備(A-FSRB: Ammonia Floating Storage and Regasification Barge)の実用化に向け、共同研究開発契約を締結しました。

1. 背景
アンモニアは燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しないため、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として期待されており、さらにアンモニアの原料となる水素にCO2フリー水素(注1)を活用することでゼロ・エミッション化の実現が可能と言われています。
特に、発電の主な燃料として使われている石炭や天然ガスと置き換えることによる、大幅なCO2の排出削減が期待されています。国内ではアンモニア100 %でのガスタービン発電に成功しており、またCO2排出の削減に寄与する革新的な次世代火力発電技術として石炭火力発電所でのアンモニア混焼発電に向けた技術開発が進められています。
また、海運分野でも温室効果ガス(GHG)の排出削減が課題となっています。2018年には、国際海事機関(IMO)が、国際海運分野からのGHG 排出量を2050年までに半減させ、今世紀中の早期にゼロとする目標を掲げました。アンモニアは船舶の代替燃料としての活用にも期待が高まっています。
これら燃料アンモニアの需要拡大が見込まれる中で安定供給に向けた輸送インフラの必要性が高まると見込み、このたび3社でAFAGC及びA-FSRBの共同研究開発に着手する運びとなりました。

2.共同研究開発の概要
AFAGC
現在、アンモニアの大量海上輸送は多目的LPG(液化石油ガス)船により行われており、本件では世界で初めて液化アンモニアガス運搬専用船の研究開発に取り組みます。また、積荷であるアンモニアを舶用燃料として活用することで外航船舶ゼロ・エミッション化の早期実現に寄与することが期待されます。

A-FSRB
本件では世界初となるアンモニア専用の浮体式貯蔵・再ガス化設備を搭載したバージ(注2)の研究開発に取り組みます。燃料アンモニアの安定供給に際して、陸上設備(貯蔵タンク、再ガス化設備、等)の代替設備として活用することで、燃料アンモニア導入の早期実現に寄与することが期待されます。


【共同研究開発に関する各社の取組み】

AFAGC
日本郵船:運航手法の策定、法規対応の検討、経済性評価
ジャパン マリンユナイテッドアンモニア燃料アンモニアガス運搬船の研究開発
日本海事協会:安全性に関する技術検証、ガイドラインの策定
※A-FSRBの分担もほぼ同様

3. 今後の展望
本共同研究開発では、舶用燃料としてのアンモニアの活用のみならず、アンモニアの大量輸送および供給の方法を確立し、国内電力会社が取り組む石炭火力発電所へのアンモニア混焼導入時のソリューションとなることを目指しています。それにより海事産業だけでなく、エネルギー産業の脱炭素化に大きく貢献することが期待できます。

(注1)CO2フリー水素
CO2を発生することなく生成した水素。CO2フリー水素を生成する方法として、再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱等)を活用して水素を製造する方法や、化石燃料天然ガス・石炭等)を活用し、発生したCO2を回収・貯蔵して水素を製造する方法などがある。上記の方法により生成された水素を原料とするアンモニアはCO2フリーアンモニアとされ、燃料や水素のエネルギーキャリアとしての活用が期待されている。

(注2)バージ
艀(はしけ)のことで、主に内陸水路や港湾内で重い貨物を積んで航行するために作られている平底の船舶。多くはエンジンを積んでいないため自力で航行することはできず、タグボートにより牽引あるいは推進されながら航行する。