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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

環境省の容器包装リサイクル関連WEBページの充実が凄い

URLはこちら。
www.env.go.jp

とくに「レジ袋に係る調査」
www.env.go.jp
平成20-28年度と、少し古いのが玉に瑕だが、レジ袋のことは非常によく調べられている。一般人でこれを上回る情報を持っている人はいないだろう。
毎年、都道府県のレジ袋削減に対する取組状況をアンケート調査、およびヒアリング(細かい!)で調べている。執念すら感じる。この結果を基にレジ袋有料化が周到に進められたのね。

そして「容器包装廃棄物の使用・排出実態調査」
www.env.go.jp
平成18-令和2年度。毎年継続しているのも驚き。例えば以下の項目。

調査目的:
容器包装の使用及び排出の実態を把握するとともに、容器包装リサイクル法の運用に必要な各種係数の算定の根拠資料を作成する。
調査対象:
8都市(東北1、関東4、中部1、関西1、九州1)のうち、各都市からそれぞれ次の特性を持つ3地区を選出された地区から排出された家庭ごみ。
A地区:比較的古くからの戸建て住宅地
B地区:比較的最近に開発された戸建て住宅地
C地区:共同住宅
調査期間:令和2年8月~令和2年12月
調査方法:ごみステーションに排出されたゴミを回収し、分析を行った。

ゴミ組成分析のうえ、容器包装に関連するものだけ、湿重量と容積を計るという手の込みよう。これ、毎年受託しているコンサルがあるな(私もこの手のバイトをやったことがあるのでわかる)。

そして令和になって突如始まった「レジ袋有料化検討小委員会」
www.env.go.jp
レジ袋有料化に文句を言っている人には、ここを全部読むことをお勧めする。
目的は”「レジ袋有料化義務化(無料配布禁止等)」を行い、消費者のライフスタイル変革を促すこと”である。海洋環境問題改善や、地球温暖化問題改善とは一言も言っていないことに注意。

「プラスチック製買物袋の有料化のあり方について(案)」及び 「小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令の一部改正(案)」に対するパブコメも面白い。これは、レジ袋有料化検討小委員会(第4回)配付資料の、資料1。
例として、No1の人の意見の概要と事務局の回答を貼り付ける。「国がライフスタイルを強制すべきではない」との意見に対し、「消費者のライフスタイル変革を促す」、すなわち「強制するので了解してね」、という論調を展開しているのが味わい深い。パブコメをガン無視して、回答もせず、悪びれていない。潔い。

意見の概要
(レジ袋を規制する意義について)
・レジ袋のプラスチックごみ全体に占める割合は2%程度であり、仮にレジ袋がゼロになったとしても海洋ごみや地球温暖化などの解決には程遠い。
・海洋ごみ対策なら、不法投棄を取り締まればいいだけである。
・ゴミ袋は自治体が回収し焼却するため、マイクロプラスチックによる海洋汚染とは無関係であり、レジ袋有料化は無意味。
・レジ袋をなくしたからといってプラスチックゴミが減少するわけがない。
・あたかもレジ袋有料化で問題が解決するかのような風潮が感じられる。ペットボトル、漁具、トレイ、タイヤ粉塵、衣類の繊維クズ、スクラブ剤のマイクロビーズ、タバコフィルタに対して、今すぐ対策する必要があるのではないか。
・レジ袋は持ち帰り時の用途に加え、自宅にてゴミ袋として利用したり、荷物を運ぶ簡易的なバッグとしての機能もあり、非常に重宝している。
・スーパーなどでもらってるレジ袋もちゃんと再利用している。
・レジ袋の原料のナフサは石油精製による副産物であり、有効活用の側面もある。
・有料化の義務化による効果として「消費者のライフスタイル変革を促すこと」を挙げているが、ライフスタイルを決めるのは消費者個人の問題である。有料化によって国がライフスタイルを強制すべきではない。
・ほとんどのプラスチックゴミは日本以外の国から排出されている為、こちらの方に注力して欲しい。
・今現在、日本国内でほぼ熱回収されているのだから、焼却炉で排出されるCO2を再利用あるいは固定化する技術開発に注力するなど、海外の真似事の買物袋有料化などではなく、資源循環型社会を実現するための日本独自の大胆な施策を打ち出してもよいのではないか。
・様々なデメリットや懸案があるが、まだ十分に議論ができていないと推察する。もっと、十分に検討を重ね、要否含めて結論を下して欲しい。

事務局の回答
 プラスチックは短期間で経済社会に浸透し、我々の生活に利便性と恩恵をもたらした非常に有用な素材です。一方で、資源・廃棄物制約や海洋ごみ問題、地球温暖化といった地球規模の課題を踏まえ、これらに対応しながらプラスチック資源をより有効に活用する必要性が高まっているところです。こうした背景を踏まえて2019年5月に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、その重点戦略の一つとしてリデュース等の徹底を位置づけ、その取組の一環として「レジ袋有料化義務化(無料配布禁止等)」を通じて消費者のライフスタイル変革を促すこととしています。
 レジ袋は生活に身近なものであり、その有料化を通じて消費者がレジ袋の必要性を吟味することによって、海洋プラスチックごみ問題等の環境問題について身近なものとして関心を高めていただくよいきっかけとなります。具体的な制度の内容については、2019年9月に設置した中央環境審議会循環型社会部会レジ袋有料化検討小委員会及び産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会レジ袋有料化検討ワーキンググループ合同会議において、関係団体等へのヒアリングを行い、審議を重ねて得たものです。
 また、同戦略では「3R+Renewable」を基本原則に掲げ、リデュース等の徹底に加え、効果的・効率的で持続可能なリサイクル、再生材・バイオプラスチックの利用促進、不法投棄撲滅と廃棄物の適正処理を基本とする海洋プラスチックごみ対策、我が国の技術の国際展開やその他基盤整備など、複数の重点戦略を位置づけているところです。今後、本戦略に掲げた取組の一層の具体化を図るべく、来年以降、順次関係省庁と連携し検討を開始していきます。

環境省のWEBページがあまりに面白すぎて当初調べたかったことを忘れた。
日本で1年間に使われるレジ袋、約300-600億枚

まず、

平成20年度資源循環推進調査委託費(容器包装リサイクル推進調査)-容器包装使用合理化調査(2009.3)
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/research/h20fy/200811-2_mri.html
ちょっと古いがこの、「2.我が国におけるレジ袋の利用実態等把握及び推計」が最もよくまとまっている。
出典:日本ポリオレフィンフィルム工業組合
これによれば、
国内メーカー出荷量は、約20 万t(2007年度=平成19 年度)。内訳:工業組合加盟業者12.4 万t+工業組合非加盟業者6.8 万t+α)
輸入は、貿易統計の項目「ポリエチレンバッグ」が47.2 万t(平成19 年度)。しかしこれら全部がレジ袋である保証はない。
最大に見積もって67万t(平成19 年度)。
最近はどうか。日本ポリオレフィンフィルム工業組合のWEB【2015~2019年 ポリオレフィンフィルムの年別出荷状況】http://www.pof.or.jp/data/files/POF-y1.pdf
によれば、この10年で漸減し、2019年度(令和元年度)では工業組合加盟業者7.7 万tと6割になっている。減っている理由は不明だが。
平成19 年度の67万tに0.6を乗じ、40万t。


レジ袋1枚当たり重量の根拠
https://www.env.go.jp/recycle/yoki/c_1_questionnaire/pdf/h25/3_7_1.pdf
(1)レジ袋削減効果の算出方法
レジ袋も軽量化の流れ、1枚7グラムとする。

これらより、40万t÷7g/枚=550億枚。