チェン・ユーシュン=監督、2020年台湾
これは面白かった。今年一番のお薦め映画!!!
時間がちょっとずつ足りない人、時間がちょっとずつ余る人。この発想はなかったなあ。
主人公が突如モテ期に入る展開は、多少強引だったが、勢いで納得させられてしまった。
一人目はイケメンのダンス教師で、「普段の収入はブロックチェーンで・・・」とか言ってる。この時点で詐欺師確定(笑)。ただよく考えたら、この男とのエピソードは、こんなにたくさん必要だったかな?、と思わなくもない。
二人目は登場シーンは良かったが、出会ったきっかけの説明がくどかった。しかし、こっちはキャラが立っていて変態、にもかかわらずキュートな男子なので、エピソードをもっと見ていたくなったし、強引な展開でも納得させられた。
父の失踪理由も、割と説明的で真面目だったわけだけど、ホラー要素が強いのでそのまじめさが搔き消される(良い意味で)。
ヤモリのシーンも、本当に必要だったか疑問だが、ノリで、もう何でもOK!って思わされちゃう。私もこのポップさにすっかり毒されている、ダメなやつだ。
郵便局のシーンが多い。台湾中の郵便局が協賛になっていた。葉書、封書は8元なのね。台湾の郵便局の設備が日本とあり得ないくらい似ていて、窓口職員の制服もテイストが似ていて、これは親しみがわく。
台北の交通事情も、興味深い。バスが頻繁に走っていること(松山~は飛行場のあるところだね)、タクシーに飛び乗ること、そしてバイクの多いこと多いこと。
台北から田舎へ移動するモチーフは、台湾人憧れなのだろうか、都会の喧騒を離れ、海の見える街に恋人と二人(本当は二人じゃない)、移動するロードムービーでもあった(こう書くとロマンティックだが、実際は非常にホラー)。牡蠣の養殖が盛んな嘉義県東石村でロケだそうで。風景も日本の九十九里のようだった。
ところで、私書箱の番号は記憶しているにもかかわらず、肝心の郵便局名を記憶していないなんてあり得るんだろうか。個人情報を記憶しない、ある意味模範的な郵便局員なのかもしれない。
最後、嘉義県の郵便局に異動し窓口業務をする主人公がよかった。台中~台南の言葉(台湾語)を喋っている。生の海産物を台北に送ろうとするおばちゃんが大変良い。
後半はホラーで、動かなくなったマネキンのような人間に”若干”手を加えている様子が、キモイ、キモ過ぎる!!(いや、いい意味で。ほんと、どうやって撮影したんだろう、特撮?スタント?合成?謎は深まるばかりである。)