Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

お引越し

相米慎二=監督、1993年日本(博報堂
中井貴一桜田淳子田畑智子
来てしまった相米慎二監督特集。横浜の長者町にある横浜シネマリンにて。しかし、北千住も柄悪いが、伊勢佐木町もたいがいだな。観客は、なんと男性客がほとんど。相米慎二だからか、それとも田畑智子見たさにだろうか。

学生時代、話題になってて観たかったが、お金がなくて見送った作品。DVDで探すも、レンタルにはなっていない、しかもセルDVDはプレミアが付いている、そのため長年後悔していた。映画は一期一会で、観たいと思ったときにすぐ映画館に飛び込めるお金と時間と気力がないとだめなんだよね。

この映画、ストーリーは両親の離婚に向き合う少女の成長譚、とまとめられるも、展開が読めなさすぎる。「引越し」が主題ですらない。何から何への引っ越しなんだろうと思うと深い。後半、がらりとトーンが変わって、ファンタジー色が強くなる。これにやられるファンも多いんじゃないかと思う。私は、実は後半のほうが退屈だった。唐突な「おめでとうございます!」はわかるような気がするものの、セーラー服と機関銃と同じ匂いがする、80年代の勢いなんだろうな(この映画は93年だが)。少女が大人への第一歩を踏み出す瞬間、という解釈もあり、オヤジ目線、とすると観客に男性が多いのは理解できる。

動きが、相米慎二監督らしい。トラックに飛び乗るレンコ、友人の自転車を押して坂道を上がるレンコ、父のバイクの後ろに乗るレンコ。どれも逞しく、しかし、どうしようもなく不安定で複雑。そこを切り取ってアクションと両立させている相米慎二は、凄いのかもしれない、やはり。

中井貴一の京都弁。中井貴一は根っからの東京人と信じて疑わなかったが、お父さんの佐田啓二が京都出身なのね。桜田淳子は秋田。なのに関西弁は違和感なかった、なにより演技がとてつもなく上手かった(この直後、統一教会の件、集団結婚の件で芸能界引退となるのは惜しい)。田畑智子は生粋の京女だったのね。若干11歳にして堂々と、はきはきと。口元が大変キュートで、30年経った今も、変わらないのは嬉しい。
井上陽水「東へ西へ」を歌う田畑智子がとても良い。「みんな頑張れ~みんな頑張れ~月は流れて東へ西へ」、必死な感じ。適所で使われている。