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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

裁量労働制のどこがウソなのか?(冷泉彰彦さんの文章)

私は,裁量労働制で働いている.職務内容とメンバーに恵まれているせいもあるとは思うが,裁量労働制のおかげでかなり働きやすいと感じている.四六時中仕事のことを考えていることも事実だが,研究者は職業でなく生き方であるとの信条をもつ身には良い制度だ.事実,この制度がなければ子どもを育てられず早晩退職していたと思う.
国会ではこの間まで,働き方改革の一環として裁量労働制適用の範囲を拡大するか(高度プロフェッショナル人材の条件って何だったっけ?),という議論があり,異常なデータとかなんとかで審議が数日つぶれるようなアホなものを見させられてうんざり.そして総じて「裁量労働制は悪」という論調がまかり通っていたので「それ違うよな〜」感がいっぱいだったが,冷泉彰彦氏がこの違和感を説明してくれていた↓.多謝.
裁量労働制のどこがウソなのか? ニューズウィーク日本版
結論は明快で,この一行にまとめられている.本人に時間管理の裁量権がないケースでの裁量労働制って日本ではあるあるで,だから問題なんだということ.

<日本の企業では事実上、本人に時間管理の裁量権がないケースがあり、その状態で裁量労働制の制度だけを適用すれば、結果として長時間労働につながりかねない>

事例が具体的.太字にした上司のセリフには思わず笑った.これで裁量労働かよ!

例えば上司がやってきて「報告、連絡、相談」をせよと言ってくるわけです。その場合でも、この上司が自分よりスキルも情報もネットワークも持っていて、「Aの機能の部分には、Bという部品より、最近量産化されたCという部品の方が良さそう」だなどという「相談することによってより生産性の上がる」アドバイスをしてくれるのなら良いのです。
ですが、そうしたケースは稀であり、日本型の組織の中では上司の方が「俺が分かってないと責任取れないからトコトン教えてくれよ」と、自分のスキルや知識のないのを棚に上げて人の時間を奪ったり、さらには「役員報告しなくちゃいけなんだけど、俺じゃ質問に答えられないから、本社まで一緒に来てくれる?」などと丸一日分の時間を奪ったりするわけです。