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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

新版 原子力の社会史 その日本的展開

吉岡斉=著,朝日選書
「歴史的アセスメント」という言葉に惹かれて.
読みやすくはないが(何度も寝落ちするが)良書.筆者は反原発,反・経産省という立場なので少し注意して読まなくてはいけないが,それを差し引いても良書だと思う.
原発の立地問題や使用済み核燃料再処理問題の歴史的流れ,よく分かる.技術の説明も丁寧で辞書的に使えるよう重要な言葉にラインを引いた.
原発は,技術的に相当危ういまま導入され,しかも「ターンキー方式」.これ,米国GE社の提案であるが,R&Dを日本で一切行うことなく,パッケージで導入することができるというもの.少なくとも70年代では,仕組みを本当にわかっている人が日本にいないということだから,非常時に自力で対策を打つことが不可能じゃん!こんなのを許容していたのかと思うと愕然とする.(現在はさすがに違うと思うが.)
プルサーマルプルトニウムの用途を確保するための苦肉の策という.非常に効率の悪いサイクルのため,国の補助がないとやってられない.使用済み核燃料の問題が現時点ではあまりに大きすぎるため,原発は持続可能な技術じゃないなあ.
原発保持と,電力自由化の阻止は車輪の両輪だ,というふうに理解したが,これもショックなんですけど.
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あれ?本書では「歴史的アセスメント」はあまりはっきりと取り上げられてなかったなあ.