ジョン・アヴネット=監督,1991年米国映画(Universal配給)
これは好きな映画だ.自分的アメリカ映画ランキングにいきなり5位以内に入る.テイストが「スタンド・バイ・ミー」や「サイダー・ハウス・ルール」に似ているからか.一言で言うと地味で不思議な映画だ.面白い,とか,う〜んやるなぁとうならせる,というのとも違う.この味わいを何と表現したらよいかわからないのだ.
あらすじは,太っているがゆえに人生を諦めていた中年女性が,老人ホームで出会った見ず知らずのおばあさんの思い出話を聞いているうちに,心が前向きになりキラキラ輝いてくるというもの.こう書くと,ありがちなハッピーエンドっぽい.エピソードとしては,アメリカにはどこにでも転がっているような昔話なんだけどねぇ.ただし,扱っている題材は,鉄道事故による最愛の人の死,DV,人種差別など重たいものばかり(特に人種差別は今から5,60年前のアメリカってこんなにひどかったのかと驚く).
なのに,話の展開がうまくて,続きが気になるのだ.そして最後,あっと驚く種明かしがある(ヒント:長ぐつの中の神様→小学校5年のとき,国語の教科書に載っていた童話).そのさり気なさが,この映画全体に上品さを与えている,と言ったらいいのか.
主人公の中年女性は林真理子に似ている感じ.「若くもないし,年寄りでもない」とつぶやくシーンがあるが,すごく説得力があった(映画見ててこんな台詞に反応する自分にもびっくりした.私もそういう年代?orz).『タイトルの「フライド・グリーン・トマト」というのはカフェの名物料理のことで,青いトマトをスライスし,衣をつけてフライパンで揚げたもの』(Wikipediaより)だそうで,実はあまり美味しそうじゃない(笑).
小ネタとしては,KKK(クー・クラックス・クラン)の集団を久しぶりに見たわ.小さいころ,アメリカの歴史を扱ったドキュメンタリー番組を食い入るように観ていて,震え上がった記憶が蘇ってきた.今回のは,そのとき以来かなあ.あのおどろおどろしい装束がほんとうに怖い.