Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

珈琲時光

ホウ・シャオシェン(侯 孝賢)=監督,2003年日本(松竹)

この監督は,大学2年のとき「戯夢人生」を映画館に観に行ったのだけれど疲れてて眠ってしまい,それ以来遠慮していた.この年になって「結構大丈夫かも」と思って(何がどう大丈夫なのか,全然説明できないんだけど)レンタルDVDで鑑賞.
予想通り大丈夫だった.どの場面も面白くて,まばたきもせず観た.でも,ストーリーが殆ど無く,動きも効果音もひたすら抑制が効いていて,眠い時に観るとこりゃ寝るわ.
全体的に,暗めの画面,かつ人がアップになることがない.浅野忠信なんて顔もわからないくらい(そのぶん声がカッコよく思えた,これ誰だろう?って思わせるんだね).
対照的に東京の街がすごくよく映っている!(だから,まばたきなんてできない.)神田古書街,雑司が谷都電荒川線大塚駅前,御茶ノ水駅,秋葉原駅.自分もよ〜く歩いたから地図を見なくたって「あ,あそこ!」って分かる.秋葉原駅,改装前のダサいこと.今の秋葉原駅は無臭なんだけど昔のは臭いがあって,それを思い出させてくれた.空気感がバッチリ保存されてて,それに引きこまれた感じ.
江文也という台湾の作曲家のことは全然知らなかった.でも,そういう人のルポルタージュを書こうと思って神田の古書街に行ったりする仕事はなんだかいいなあ,って思う.
小津安二郎のオマージュというだけあって,家の中のアングルは小津だった.(低い位置で全然動かない.フレームが襖とちゃぶ台で切られてる.マジで小津っぽい!)しかも,全体の小道具も今風なものはなくて昭和的だし.松竹映画だし(笑).ただ,小津よりずっと地味で,見終わってso what状態が嫌いな人にはオススメできないなぁ.