Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

新型インフルエンザを勝手に総括

新型インフルエンザのあの騒ぎは一体なんだったんだろう.
結局私はマスクを買わなかったし買おうともしなかったけれど,ここ山形の田舎町でもドラッグストアからマスクが消えた(ただし,小さな薬局では売っていた).マスク製造会社と薬屋さんは儲かったよね.あとROCHE社も・・・なんて黒い発言はさておき.

感想:
・感染者数が世界第4位ということについて.感染者数が多いってことは検査キットが潤沢にある豊かな国だ,ということの証明でもあるのだし,そろそろ「感染者数を国ごとに比較するのって意味無いんじゃ?」と気がついても良いと思った.
・そういう意味では,テレビは「感染者が○○で出ました」という一点張りでつまらない.本当に感染している人かつ重症な人を取りこぼさなければ,あとはかなりどうでもいい.重症な人をどうやったら取りこぼさないか,最も効率のよい方法を考えるのには知恵を使うべき,その点,機内検疫などかなり良い手段であったと思う.それで陰性なら仕方が無いよ.
・知識が増えたなあ,と感じられて良かったのは,スペイン風邪の死亡率が世界中で2%程度,といわれていたけど,国によって死亡率には大きな差があり,英国米国など,当時先進国といわれていた国では死亡率は1%以下と低かったという事実を知ったこと.つまり,死亡率を文字通り受け止めてはいけない.医療水準などの考慮も必要だ.豊かな国で感染すれば死ににくい,というシンプルな事実(人生って酷だね〜).
・だから,死亡率をもとに毒性を判断するのもミスリーディングになる可能性がある,ってことだね.ただ,従来のインフルエンザと毒性(感染力)は同等だ,と割り合い早くに結論されたから(その時点で死亡率はあまり重要視しなくて良い,とみんな思ったんじゃないかな),この点に関しては今回混乱はすくなかっただろうけど.
・”率”って,危ない指標だよなあ.だって,感染者数を分母にしている時点でアウトじゃん.かかってそうな人が「お金が無いから」と敢えて検査を避けるのは普通だろうから.発表される数値は常に経済力などのバイヤスがかかっていると見るべき.
・それにしても関西地区は気の毒だった.なぜに首都圏じゃなかったんだろう?だって,阪神大震災から始まって景気の悪い話が多いのに,実際首都圏より景気も悪いのに,どうしてさらに景気を悪化させるようなアクシデントが観光収入かき入れ時のGWに・・・運が悪いとしか言いようがない.橋下知事が真っ先に懸念したのは人命もそうだろうけど,「うわぁ経済が停滞してまう!府の借金もっと増えるぞ,どうすんねん!」ってことではないだろうか.大阪・神戸・京都では各種イベントが中止されて実際,大打撃だったわけだし.結果論だが,イベントは通常通り行っても感染者数は増えなかったと思うが(←超無責任発言!!!).ほんとに関西の人お気の毒です.

さて,今後,どうするべきか?
・せっかく生データが集まったので,収束したあたりでデータ整理.感染力を求める式に代入する係数を算出しておく.しかし,上記のようにデータにはバイヤスがあることに注意.その辺の補正式を提案してみてもいいかもしれない.
(使える指標はなにか?と考えると,持病の無い屈強な男性(よくHealthy workerとかの表現を見るけど)がこの新型インフルエンザで何人死んだのか,というデータが欲しい.メキシコ以外でこういう人は死んでいないのでは?と思う.メキシコでは良くわからないが.)
・毎冬に流行するフツーのインフルエンザとの比較も有意義でしょう.
・そして取った行動とその時期をできるだけ詳細に記録.すなわち後世の人々に「感染力aのインフルエンザでは,経済力が日本くらいの国でいうと,T1の時期に対策B,T2の時期に対策C.少なくともこうするとパンデミックにならないのね」ということを示そう.発想としてはNOAELデータ(笑)をavailableな形で整理するような.こういう”ワクチン”みたいな事例を大切にしないとね(罹患された方には申し訳ないが).
以上.