Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

打ちのめされるようなすごい本

米原万里=著、文春文庫
米原万里さんには、打ちのめされっぱなしである。本を読むたびに、居ても立ってもいられなくなる。ページから麻薬でも出てるんじゃないだろうか。
書評集だと更にである。世の中に読みたい本が未だこんなにある!なのに私は、今まで一体何をして生きてきたのかー!!!死ぬまでに読めないじゃん、と焦るのである。
この本は、余命が私より30年ほど長い長女から勧められたもの(余命は、あくまで期待値ですが)。私は読書に費やせる時間が長女よりも30年も短いのかと思うと、己のこれまでの無為な人生をただ後悔するばかりである。
・・・思わずこんなことをつぶやきたくなるような、生きる力が湧き出てくる書評集。疲れてずぉ〜んとしたとき、アドレナリン出ます。
以下、自分が今後読みたいと思った本のメモ。 
エマニュエル・トッド「帝国以降−アメリカ・システムの崩壊」
ソ連の)乳幼児死亡率の上昇→ソ連崩壊
を見ぬいた著者が、
(米国の)貧富の格差拡大、低所得者層の乳幼児死亡率の異常な高さ→インフラ弱体化
を論じている。乳幼児死亡率は頑健なインフラの指標になるという話。確かに。
星野博美「転がる香港に苔は生えない」
学生時代に読んだような気がしたけど、もう一度読みたい。「謝々、チャイニーズ!」と共に。
中野翠「会いたかった人、曲者天国」
丸谷才一「笹まくら」新潮文庫
米原万里さんは丸谷才一が大好きみたい。読んだことないんだけど面白そう。
森達也下山事件(シモヤマ・ケース)」
これは面白そう。昭和24年、国鉄総裁が常磐線綾瀬駅付近で変死体となって発見された事件だよね。森さんは我が敬愛する斎藤美奈子センセと新潟高校で同級、というところからチェックを入れていたんだが、オウム真理教を扱った映画「A」も観たくていたんだが、きっかけがなくて。一旦入ると出て来られなそうで。これを機に森達也にハマるか。
佐藤優さんの本
彼の本は賛否両論あるが。深く物を考える人のお手本かなと。
中島博行「罪と罰、だが償いはどこへ?」新潮社
私だったら絶対自分から手に取らない。米原さんの眼はすごいなあ。
ハムラビ法典「被った損害の30倍の補償」「牛1頭を盗んだ泥棒に牛5頭分の賠償」
ローマ法「被害弁償は奪った財貨の4倍」
なるほど。損害賠償の相場がこんなに昔から決まっていたのか。対象によって損害vs賠償の比率の違いはあるけれど。この辺が、受け入れられるリスクの大きさの基礎になってるんじゃないかしら。こういう判断を繰り返して、受容できるできないが(社会的に)決まってくると思うから。勿論、自分が受容できるできないは個々に色々あるとしても、平均値として残ってくる数字を押さえておくのも大事かと。
どの本だったか忘れたが、スターリンがなぜあんなに早く原爆開発に成功したのか、は歴史上かなり多くの人が感心持っているテーマなのかも。「窓から逃げた100歳老人」にも出てくるくらいだから。