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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

認可保育所を増やすかどうかにまつわる議論

それほど真面目に情報を集めたわけではないのだけれど,少しだけ勉強してみた.鈴木亘先生とChikirinさんの論考が面白すぎ.

まずは鈴木先生.冷徹な感じが面白い.
景気急落で激増する待機児童と、その意外な即効策 学習院大学経済学部 鈴木亘先生の個人ブログ)
この方,くしくも今朝の朝日新聞論説欄にご登場されていた.

現在の認可保育所の低年齢児童一人当たりのコストは非常に高く、パートやアルバイトの収入よりも、保育に掛かる運営費、もしくは自治体の負担額の方がはるかに高いという現実である。

はい,そのとおりなのであります.ついにバレたか感で一杯.あ,「パートやアルバイトの収入」って書かれてるけど,フルタイム勤務だって低年齢児童一人当たり運営費以上に給料を稼ぐことは難しいんだよ!
私自身,子を持ちつつキャリアを中断することなく働いてきた.それは,上2人は産休明けから認可保育所に入所できたからだ.0歳児を認可保育所に預けるってことは,毎月20万円超(注:つくばの場合.ゼロ歳児2人につき1人の保育士が割り当てられる.市職員【保育職】の給与からの推定)のベビーシッター代を自治体に支払ってもらってるってこと.だから,「そもそも給料も税金から出てる身分でさらにこれかよ!」って冷静に考えるとブルーになるのであった.だって税金泥棒以外の何者でもないじゃんねぇ.
私にこんなにもコストかかってるのに,それに見合うだけの仕事をしているのか,常にそういう思いにとらわれている.もっと優しい母親の場合は(私は違うけど),子どもと触れ合う時間を減らして,税金もたくさん投入してもらって,そうまでしてする仕事って何?と自責の念に捕われるだろう.

で,鈴木先生は「児童一人当たり運営費以上稼げない人々には、本来、認可保育所に入所をしてもらわない方が効率的」と.
・・・えげつないけど,このようにハッキリ書かれると逆にすっきりする.問題は,じゃあどうするか?ということ.鈴木先生は「働かない代わりにお金を支払う」というご提案をされている.しかしながら,このロジックは職業に貴賎があるといってしまっているようなもの,大いに反発されるのは間違いない.ちなみに,朝日新聞では「コストの安い認証保育所を広げよ」という提案になっていた.この辺,新聞というメディアを意識して内容を少し丸くしたのかな?


保育所が永久に足りないであろう理由 - Chikirinの日記