Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

呪いの時代

内田樹=著,新潮社

口述筆記のためか読みやすく,(こんな主題なのになぜか)笑うこと多々.
他人を軽蔑したり恨んだり羨んだりという感情が現代にははびこりやすいけれど,それは回りまわって自分を不幸にする.機嫌よく程々に生きましょうというメッセージ.
・・・こう,要約しちゃうと良い人になりましょうっていうか,よくあるつまらない本みたいだが,漢字を教えなくなった韓国とベトナムでは何が起こったか,とか婚活ビジネスの罠とか,太宰治はなぜ若者の心にひびくのかとか,新たな見方を提供してもらって面白かった.
とくに面白かったところについて感想.
婚活という考え方は”唯一無二の”結婚相手を探さなくてはならんという思考に追いやる.結婚してみて不満があったら”こんなはずじゃなかった”,そこに離婚ビジネス,再婚ビジネスが忍び寄る悪魔のようなビジネスモデルだという.「笑うせえるすまん」を思い出すね.
『昔だって適齢期になったらすらすらと結婚したのではありません.やっぱりみんな「いやだいやだ」とごねていたのです』.そこに登場するのが『ぱらぱらと見合い写真や釣書を並べて,「どうこんなの.これでいいじゃないの,これで手を打ちなさいよ」というようなことを気楽に言い放つ』世話焼きおばさん!(小津安二郎の映画の杉村春子ww)
このくだりには大爆笑した.これ,あたかも今晩の夕食の献立や,百歩譲って洋服を選ぶように選ぶってことでしょ?今はこういう考え方で結婚相手を選ばないものね.
「まあ,自分も完璧とは言えないわけだから程々にやってこう」みたいなユルさをお互いが持ってると,みんな幸せになるなあと.そう,すごく実感できる.自分も,結婚したのは成り行き(←こう書くと身も蓋もないがw)だったけど,夫とはユルい関係で「まあまあ」「ちょっとずつね」みたいなものがすごく多くて助かってるかも.