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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

「安全な食べもの」ってなんだろう?放射線と食品のリスクを考える

畝山智香子=著,日本評論社

全体をざっと読んだだけだが内容があまりにもプロ向けなので驚く.特に前半.
たとえばIARCのグループ1〜4の分類(物質や行動がヒトに対して発がん性がある,といえる「根拠がどのくらい明確か」という程度に応じた分類.p.36)の説明など,公衆衛生の研究者しか通常目にしないぞ.
畝山先生の妥協のない筆致はほんとうに尊敬に値する.日本全体が「放射線お勉強モード」になっている今は,一般の人がネット上でこういう情報に触れており,あらぬ誤解も多いという懸念から,ここまでハイレベルな情報が必要だという判断なのだろう.

ちなみに恥ずかしながらIARCのグループ1〜4の分類に関しては,私も数年前までリスクの強さのランキングだと思っていた.確かに,この定義はものすごくわかりにくいのだが,この説明が縦書きの本でなされる時代が来るとは思っていなかった.

あ,「リスクの受容度は(中略)人々の参加による判断が必要です」(p.134)とあるけれどリスクコミュニケーション(だけ)でリスクの受容度について決めることはできるのかな?リスクコミュニケーションというのは,現時点では説得ツールとなっているフシがあるので納得してもらうことはある程度可能だろうけれど.

私の仕事に大いに関わるので,職場に置いて何回も読み直さねば.