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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

井戸水の六価クロム

佐賀県.元記事はこちら
この濃度からして,50年前に稼動していた工場が汚染源であることは間違いない.水は飲用禁止にしているが,洗車などの生活用水として使うことがある(だろう)から住民も不安なのだろう.が,きちんと調べると費用が膨大.対策も費用が膨大.

六価クロム、長年検出されるけど… 対策なく住民に不安
佐賀新聞2010年01月13日
 佐賀県三養基郡基山町宮浦の民家の井戸水から、環境基準を上回る六価クロムが18年間にわたって検出され続けている。佐賀県は毎年の調査で異常値を確認し「飲用禁止」を指導しているが、原因究明や還元剤投与などの対策は「住民生活に影響はなく、費用面でも難しい」として取っていない。住民は長年の間、不安を抱えたままだ。
 六価クロムが検出されているのは、住民が1974年から飲用に使っていた井戸。91年に濁っていることに気づき、当時の鳥栖保健所の調査で基準値(1リットル当たり0・05ミリグラム)の40倍の2ミリグラムが検出された。年2回の定期検査が続いているが、基準を下回ったことはなく、昨年9月も0・81ミリグラムを検出した。
 県循環型社会推進課は飲用しないよう指導しているが、還元剤投与や土壌入れ替えなどの対策は取っていない。同課は、検出量が下がっていることから「自然浄化に向かっている」と判断。上水道が普及し、地下水が必要ない現状から「広域的に健康被害が出るとは考えにくく、行政の費用負担は難しい」とし、抜本的な問題解決には踏み込んでいない。
 宮浦地区では60年までメッキ工場が稼働、75年には工場跡の井戸から1リットル当たり0・32ミリグラムの六価クロムを検出した。当時、県は周辺44戸の井戸水を一斉調査したが、今回の井戸を含め、異常はなかったという。
 水質汚濁防止法では、県は健康被害が明らかな場合、原因者に浄化命令を出す権限を持つ。今回の場合、工場閉鎖から50年が過ぎていることなどから県は「因果関係を断定できない」としている。
 現在、井戸水は飲用以外でも利用はされていないが、住民は「放置したままで、本当に被害はないのか」と戸惑う。91年の調査後、地区全体の実態調査はなく「今も井戸水を使い続けている家庭があるかは把握できない」(基山町農林環境課)という。
 環境省水・大気環境局は「地下水は汚染範囲の把握が難しく、自然浄化しているのか、ほかに流出しているのかの詳細をつかむには大がかりな調査が必要。ただ、井戸水の使用実態と住民への健康影響を見ながらどこまでやるかは県の判断」と話す。
【写真】六価クロムが18年に渡り検出され続けている家庭用井戸=三養基郡基山町宮浦