Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

早産ドタバタ記と今後(後輩?)への示唆

2月15日、妊娠34週2日で次女出産。いわゆる早産であるため、次女は保育器にて入院中。母子とも今のところ健康で、数値的には異常なし。

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・経緯
2月7日 軽い破水。胎動もあり普段と変わらないが、かかりつけの産婦人科へ。出産予定の病院で早めに診察することを勧められる。
2月8日 里帰り出産のため、東北地方のA総合病院にて受診。(移動は5時間、新幹線使用)
    通常の妊婦検診のつもりで受診したら即入院。お腹の張り止めウテメリンを点滴にて。トイレ以外起きるなという安静を指示される。点滴の副作用で頭痛、目の焦点が合わないなど。羊水はほとんど残っていて、通常の妊娠状態と全く変わらないと感じるので入院は納得いかないが、指示通りに絶対安静。この時点で、産休前に残っている仕事は全て諦める。
2月10日 超音波検診の結果、胎児の腎臓などに異常があるかもしれないといわれ、小児科も充実しているB大学付属病院に転院することになった。救急車で搬送。通常50分くらいかかる道を35分で到着。信号無視の効果は絶大(笑)。
2月12日 張りが収まらず、ウテメリンに加えてマグネゾールを点滴にて。マグネゾールは少しずつ量を増やした。体が慣れてきたのか点滴の副作用は軽減するも、食欲なし。妊娠性糖尿の疑い、とかで1日に7回も血を採られて血糖値を測定される。採血は、細めのボールペンのような棒の先に針がついているもので「パチン!」とやるだけなのだが左手の指先は小さな傷だらけになった。計50箇所以上。これが意外と辛かった。その他、点滴の針がバシバシ刺さった私の体は立派な病人。シャワー厳禁なのも辛かった。
2月14日 午後10時、本格的に羊水が出始める(水を拭いた雑巾が絞れるくらい、というたとえが適切か)。張り止め点滴を中止すると陣痛が始まる。エンタの神様を観て笑ったりする余裕はあった。
2月15日 午前4時半、出産。3回目なので分娩台の上では冷静、かつ、赤ちゃんは小さいため極めて安産。
「最初の破水から1週間もよく持たせたものだ」と、お医者さんからは誉めてもらった。あまり嬉しくない誉められ方だが、この時期は胎児が一日でもお腹の中に長くいることが健全な機能発達のために重要なので。
出産すると血糖値下がる下がる。妊娠性糖尿の疑いは晴れる。お腹空きまくり、病棟で出る給食が美味しくて美味しくて毎回当然のように完食。
次女の腎臓もバッチリ正常。

2月19日 母(=私)のみ退院。私はそのまま産後休暇〜育児休業ロングバケーションに突入。あとは次女の退院を待つばかり。

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・語録
A総合病院の担当だったT医師。大真面目なのにやり取りが漫才みたいで、私たち夫婦に大いにネタを提供してくださった。
夫「入院するんですか」
T医師「もう入院しています」
・・・
T医師「妊婦は普通の女性でも男性でもありません、だから絶対、という保障は何一つできません」
我々(いや、男性ではないでしょうけど・・・)
・・・
T医師「明日にでも産まれることだってあるんですよ、それが妊娠しているということです」
この最後の言葉は重かったな。妊娠・出産は3回目で、知ったつもりになっていた自分を恥じた。リスク管理が甘かったと。

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・破水の理由
疲れ、なのに休まなかったこと。これに尽きる。

仕事は計画通り進めていて焦りはなかったが、なにせ朝から18:30まできっちり働き、その後保育園の子供たちをピックアップ、夕食作り。インフルエンザが流行っていたので、栄養のある食事をつくりたかった。そして10時には寝かせたかった。インフルエンザにかかられてしまうと自分の仕事に費やせる時間が確実に減るから。こういう気持ちで緊張していたのかもしれない。これは疲れを感じないテンションだし、感じたとしても休もうというメンタリティーにはなりにくい。

破水の直前の週は、夫は出張で4日間留守、電話で夫に「5分と立っていられないんだよ〜」と話したことを今思い出した。自分的にもやはり疲れていたのだ。

自分の感覚に正直に、見栄を張らずに、休む、ことが基本なのだ。

今回は多少破水してもまだ赤ちゃんが十分動けるくらい羊水が残っていたので(救急車で運ばれて)即出産、ということにならなかったのがせめてもの幸いだった。

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しかし、出産はたいへんリスクが高い。命が関わるくせに一寸先が読めない(現代社会においてこんなことって稀少だぁ)・・・今回強くそう感じたので、思うことを書いてみる。
・今回の反省を生かして、どうすべきか
 さすがに四人目は考えていないので、次回があるかわからないが。
私のような(常にテンパってて、フルタイムで働く)妊婦ができること、周りができることを考えてみた。ここで、思考停止っぽい守りの対応はナシ、ね。たとえば、「大事を取って」早めに産休に入る、とか上司が親切心で「有休使って早めに休んじゃえば?」とか言う、っていうのは却ってストレスフル。仕事をしたい人間は「仕事してね」って言われるのが一番の安定剤なのだから。

1.妊娠後期になったら、ありそうなワーストケースシナリオを考える。その事象別行動リストをつくって、シミュレーションしておく。書いてしまうと恐ろしいシミュレーションだが、少しの機転が母子の生命を分かつことがあるので結構重要だと思う。
たとえば「職場で破水した場合」
母子手帳は常に持ち歩いておくのは大前提。
ランクA:少しなら自分でタクシーを呼びかかりつけ医に行く(タクシー会社電話番号は常に控えておく)。夫に連絡。上司に連絡(電話番号は常に控えておく)。「明日は休みます」
ランクB:大量なら周りの人にタクシーを呼んでもらい、かかりつけ医に行く。夫に連絡。上司に連絡,文例:「当分出社できませんので部下の○○さんにCの件とDの件を任せました」。部下に連絡。
ランクC:もっとやばそう(陣痛が同時で立つのもやっととか)なら救急車。緊急連絡先(夫に加えて実家とか)に電話。職場のことは考えない。

ポイントは、
ランクCなら仕事のことより命が大事、と割り切ること。ランクA、Bなら電話での口頭連絡が意外に使えること。
・最近はメールに慣れてしまって電話番号が分からないことが多いから、電話番号をきちんと書いておく。今回、上司の電話番号(職場の番号すらも)を知らない自分に愕然とした。
・PCはおろか携帯メールも打てなくなる状況になることが多いので電話で直接話すのは結構早い。最近の病院は携帯電話での通話はOKしてくれる病棟が多い。
・私の場合、電話に加えて、少し落ち着いてからfaxを義母に代筆してもらった。書面のほうが良いと判断したからだが、手が震えて字が書けなかったので代筆はありがたかった。
・妊娠後期の場合、日本では進んだ医療技術のお陰で、かなりの確率で適切な処置が施され、母子共に命が助かることが多いように思う。だからこそ、落ち着いて初期の対応をすることが大事。こういうことが起こるのを怖れて「ハナから仕事をしないで休む」っていうのではなくてね。

2.この時期だからこそ、仕事を積極的に他人に振る。
 私は、このマネジメントができていなかった。いや、正確に言うと、積極的に仕事を振ってその成果が上がってきており、「さあ、まとめだぜ!」ってところで入院してしまった。これは、どうしようもなかったような。だから上に書いたような1.のシミュレーションが重要なのだと思うけど?周りからするとハラハラなんだろうな(苦笑)。