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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

下流大学が日本を滅ぼす!

三浦 展 (著),ベスト新書 192

読了所要時間=2時間.非常にすらすら読める.
読みながらずっと「下品な本だなあ」と嫌な気分だった.人を(特に低所得者層を)貶める嫌な感じがやってらんない.
データによる裏づけがない内容が多いことから,書いてあることの信憑性に疑いを持ち出すと,全てが「ネタ(=作り話)なんじゃない?」となる.ネタだと思えば,内容は面白い.大学の先生も大変だなあとか不謹慎にも笑ってしまう.
にもかかわらず,最終章の著者の提言が具体的かつ前向きで素晴らしい.文句のつけようがない.「全ての大学生は働きながら通学せよ」,「大学を減らせ」,「ネットを活用してサイバー大学とせよ」,「大学生のコミュニティは地域の大人と交流することで築け」,など.大学が減ったら先生方は失業者となるわけで笑っていられないだろうが,すでに大学を卒業してしまって,大学で教えることもなさそうな私としては「なるほど〜」と唸ることしきりだった.

最終章が大どんでん返し.これは著者の狙いなの?新書にはありえない(普通,最終章は今までの内容の繰り返しとまとめに当てられるはず)パターンであった.

注意:この本は差別的発言オンパレード.私は割りとこういう発言には寛容な方だけれど,読みながらずっと「下品な本だなあ」と嫌な気分だった.特に低所得者層を貶めるのは,いまどきどうかと首をひねった.差別的発言などが許容できない人は読まないほうが良いでしょう.