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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

地球持続の技術

小宮山宏=著,岩波新書647
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4004306477/249-2890941-5727514?v=glance&n=465392

Amazonから購入.購入した理由が,レビューアーの一人が酷評していたから,なのである.その酷評の理由が知りたくて.というわけで,オススメの声のみだとかえって買いたくなくなる天邪鬼の私の心を動かした本ということになる.

いまさらながら,著者のバランスのよさには脱帽である.ある程度いい加減,どの技術にも肩入れしない,ある程度冷めた目線が,環境問題に取り組む人には重要なのである.限界,理論値,こういうものは正しい理科のお勉強を積み上げて分かるようになる.昔は馬鹿にしていたけど,こういうことを分かることを増やすことが重要なのではないか?分からない人がトンデモ科学を推進していることはおそらく事実だから.賢い市民は学校で理科を「本当に」理解すること.

この本は表現の厳密性を追い求める人には物足りないかもしれないが,環境問題の解決を志す高校生には,やっぱりお勧めの本だと思うなあ.しかし,大学に入ってこの解を授業の中で得られると思ったら大間違いだ.東大ですら,ここに書かれている全ての計算を原理から理解するのを助けてはくれないし,且つ,現実にはどうすればよいかなんてことは教えてくれない.社会に出て,仕事をする中で社会に発信して官僚などを動かしていく力を持つことだと思う.