Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

貧困の終焉―2025年までに世界を変える (単行本)

ジェフリー サックス (著), Jeffrey D. Sachs (原著), 鈴木 主税 (翻訳), 野中 邦子 (翻訳) ,早川書房

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152087234

面白い.ボリビアバングラデシュ,インド,中国という自分が実際に訪れた国が取り上げられていたので,非常に興味深く読んだ.世界の貧困層を本当になくせる気がしてきた.要はお金,資金援助が現在の10倍,願わくば100倍あればということ.そして,その資金を出せる人はたくさんいる,アメリカのGNPの0.7%という数字がカギ.それにしても,アメリカは金持ちが多く住む国だ,そしてその金持ちは徹底的に金持ちだということにため息が出る.
「援助の額を増やしても無駄」という意見は,私もなんとなくそう思い込んでいた.アフリカの国々が政治的に腐敗しているとか,AIDSが広まったのは文化的習慣だからとか,という根拠のない風評は,きちんとデータで裏づけを取って真偽を確認すること.目からウロコだった.
アフリカも,リプロダクティブ・ヘルス,教育,社会基盤にきちんと投資をすれば,経済成長はきっと夢ではない.それはIT技術が整った今だからこそ,可能かもしれない.インドIITの設立の先見の明.1950年代,60年代に,貧困者のあふれるインドに,そんな最先端の研究が必要なのか?答えは結果的にYESだった.貧しい国こそ,研究機関を!

臨床経済学という言葉に集約されているように,実際に現地に赴くこと.地理的条件のハンディを考慮に入れること.偏見で「この国は貧困から抜け出せない」なんて安易に言うものではないこと.
安井至先生のサイトで紹介されていた,という理由で安易に買ってしまったが,とても元気が出てきた&ものすごく勉強になった.やはり名著といえよう.