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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

カドミウムの水質基準改正へ

日本水道新聞2009年07月09日の記事より(元記事はこちら

銅の評価値も協議
  厚生労働省は6月25日、平成21年度第1回水質基準逐次改正検討会を開き(写真)、銅に係るリスク評価および水質基準の設定、カドミウムの水質基準改正等について協議した。カドミウムについては、昨年12月、厚生科学審議会生活環境水道部会で、水質基準値を0・01㍉㌘/Lから0・003㍉㌘/Lに強化する方向が打ち出されている。銅についても水質基準改正の必要性について検討を進めることとなっており、銅合金を使用した給水装置(管)からの銅の溶出や健康リスクについて、データの収集・解析を行ってきた。

検索したら更に詳しい記述が出てきた(こちらのサイト).日本水道新聞の記事をテキスト化したサイトらしい.ありがとう!

(ここまで上記と同一なので略)薬品からの混入や資機材からの溶出等のデータを収集・解析し、内閣府食品安全委員会の意見聴取も行うことになっていた。22年4月の改正を目指す。
 食品安全委の答申は8月に出されるが、同委では米の成分規格改正でカドミウムの耐用週間摂取量を7μg/kg体重/週としており、水道水質基準改正での評価も同様の評価が答申される見込み。新評価値0.003mg/Lを基準としたカドミウムの検出状況は、過去3年間で新評価値の33%超過は毎年180件程度、50%超過が17年度に1件あるが、評価値超過はなかった。
 給水装置・水道用資機材の浸出性能試験データでは、黄銅(真錬)製または青銅製の給水栓の一部製品にカドミウム溶出が見られたが、これらは原料に不純物として含まれているものが溶出したもの。浸出性能はおおむね強化後の水質基準値の1/10以下を満足すると考えられ、特に強化後の基準値案との比較を十分な精度で行えるよう定量下限値を設定し直して行った再試験において、すべて満足する結果となったことから、末端給水装置や資機材の浸出性能基準値は、現行の0.001mg/Lから0.0003mg/Lに強化する。
 銅についても水質基準改正の必要性について検討を進めることとなっており、銅合金を使用した給水装置(管)からの銅の溶出や健康リスクについて、データの収集・解析を行ってきた。青水の発生した給水栓における銅の濃度の測定、メーカーによる鋼の溶出試験、銅合金製給水管使用者における曝露量の推定などを行った結果、健康影響の観点からの水質の評価値を1.16mg/Lと出した。これと比較して着色の観点で設定されている現行基準値1.0mg/Lのほうが低いことから、現行基準値を継続するべきであるとの結論を出した。このほか、最新の科学的知見に基づく水質基準等改正方針から、評価値を強化するとしているトリクロロエチレンの曝露評価についても議論した。

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「耐用」→正しくは「耐容」・・・間違えやすい.
注目すべきは「新評価値0.003mg/Lを基準としたカドミウムの検出状況は、過去3年間で新評価値の33%超過は毎年180件程度、50%超過が17年度に1件あるが、評価値超過はなかった。

この数字の根拠となったデータは水道統計と推察する.「評価値」の定義に疑問があるが,おおむね私の手元にある情報と一致.(ほとんどの測定地点で”<0.001mg/L”のはず)
しかし,改正になったら現場は結構大変だ.なぜなら,サンプルの検出下限値を最低0・0003㍉㌘/Lとしなければならないからだ(基準の1/10にするのがお約束).これには分析機器を新規購入したりとコストがかかるのだが.個人的はもう少し精度のいい機器で測定して欲しかったので嬉しいニュース.改正は来年の4月ね.
水道水質基準が変更になると環境基準がそれに合わせて変更になる(「水道水質基準=環境基準」にしておく,というのが,これまで行われてきたパターンだった)ので,環境基準も厳しくなりそうだな.
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銅,トリクロも.
これは水道水質基準であり,環境基準というわけではないから別の話にしてしまうこともできるが,「生態リスクを考慮した銅の基準値」なんて話が出てきたら大変なことになりそう(笑).銅は藻類をバンバン殺すので.