Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

新宿シアタートップスの思い出

小劇場新宿シアタートップス来年3月閉館
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=599563&media_id=8

朝日新聞三谷幸喜のエッセイで知った.mixiニュースでは9/6に流れていた.全然知らなかったわ.

シアタートップスには92年から94年まで,三谷幸喜が主宰する劇団,東京サンシャインボーイズを観るために通っていた.

ここ,いかにも場末な感じが漂う,新宿らしい小劇場だった.すぐそばにある紀伊国屋ホールが”ハレ”な感じいっぱいなのに対して・・・(苦笑).通い始めたときはまだ10代で,こんないかがわしいところ!とドキドキしたことを良く覚えている.でも,座席数150,役者のつばが飛んでくるのも分かる距離感が気に入ってハマった.

三谷さんによればここは,繁華街の雑音と隣り合わせの劇場であったらしい「本番中にカラオケの音が鳴り渡ったり」「酔っ払いの怒号がかすかに聞こえたり」「一番いいシーンを救急車の音で邪魔されたり」・・・音響さん大変そう.私は全然気がつかなかったけど.

ここの思い出としては,当日券目当てで夜の公演のために昼から並んだこと.

東京サンシャインボーイズは,チケットの取れない劇団として,当時だんだんと有名になりつつあった.どうしても観たい場合は体力戦にでるしかない.「日によって違いますが大体10枚くらいは当日券出ますよ」との情報を劇団よりゲット.時間が有り余っている学生だったので「どの授業切れるかなあ」と吟味の結果,水曜日の午後並ぶことが多かった.午後1時から並ぶこと4時間.このくらい並ぶと3番目くらい,多くても10番ぎりぎりだったので無事当日券を手に入れていた(場所が一番前!!ただし座席は椅子でなく座布団席).

並ぶ場所は非常階段で,しかもリハーサル中の役者さんたち(メイクしてたりしてなかったり,カブリモノしてたり)が舞台の出入りのためすぐ脇を通るのである!この劇場の構造どうなってたんだろう?並んだ者同士見ず知らずだったけど自然と会話するようになり,「今の相島さん?」「あ,小林隆さんでしょ?」「西村雅彦,汗かきまくりですね!」.役者さんと握手してもらったこともある.リハ中とはいえ,皆さん気さくだった.

閉館の理由は,「テナントの見直し」と言うことだけれど,アスベストとか耐震化とか,あとヘンテコな非常階段とかで劇場として使うのは元々無理があり,消防署から注意されたのかもしれない.大切な思い出の場所が消えていくのは少し寂しいことだ.