メタミドホスより,アフラトキシンの方が影響が大きそうなので,アフラトキシンを中心にサーベイ.
1.取り急ぎ,事故米穀の数量を確認.今のところ,かかわっているのは3社.農水省HPよりまとめ.9/12現在.
三笠フーズ(株)
政府から 1779トン うち一般カビ 970トン
商社から 145トン うち一般カビ145トン
米穀販売福岡県1から 670トンうち残留基準超過598トン
→残留農薬米(メタミドホス)800トン
カビ米(アフラトキシン)9.5トン
残留農薬米(アセタミプリド)598トン
(株)浅井
政府から 1,297トン
→残留農薬米(メタミドホス)(570トン)
カビ、水濡れ (727トン)
太田産業(株)
政府から 1,136トン
→残留農薬米(メタミドホス)(718トン)
カビ、水濡れ (418トン)
注:(株)浅井,太田産業(株)での流通米ではアフラトキシンは検出されていない.
2.アフラトキシンの暴露評価をもう少し詳細にするとしたら
今行われている試算で用いられているシナリオは,ものすごく極端なものだから.でも試算されている方は,かなり良いセンスだと思うけど(その方のブログに勝手にリンク).
ということで,アフラトキシンの暴露評価をもう少し詳細にしてみたいので,濃度調査方法と結果を詳細に開示してほしい.検出されたサンプルの濃度分布などがわかれば,食用に回った事故米のアフラトキシン総量がわかる.このことは,(私の調べ方が悪いのかもしれないけど)いくら調べてもどこにも書いてないのだ.「三笠フーズ(株)に売却した非食用事故米穀」にはアフラトキシンの「検出値」が載っているのみ.以下のように書かれている方もいることからもわかるように,「検出値」の情報では不十分なのだ(その方のブログに勝手にリンク).
”例えばロット全体の平均濃度が5ng/gのピーナッツで、0.03%の粒だけがアフラトキシンを含み、汚染粒一粒に1,100microgのアフラトキシンが含まれていたという報告がある。(引用元として 山本勝彦:粒上農産物のマイコトキシン検査におけるサンプリング法に関する統計学的考察, 食衛誌32, pp.89-92(1991))”
ですので,たとえば,
・検査したロット数,検査した数量.(果たして,ロット調査という概念もあるのかどうか)
・アフラトキシンの検出されたロット数および数量.
・アフラトキシンの検出されたロットの濃度の度数分布(まさか全てが0.05ppmってことはあるまい).
とかの情報ほしいです.
#いや,情報が出てこないということは,税関の検疫の時点で,まともに抜き取りサンプリングをしていない=だから本当にデータがない,ということなのかもしれない(まさか,と思いたいが).
#なお,農水省が流通経路のみ詳細に公開するのはかえって不安をあおっているような.
3.急性毒性は問題ない.
このことはもっと強調されて良い.元journalをまだ確認しておらず,”これはもっとも高い濃度のアフラトキシンに汚染された汚染米で計算しても、20t〜1000t”の米を一度に摂取する場合に懸念される(リンク)という情報学ブログ様の受け売りだが.
アフラトキシン汚染米を一生涯食べ続ける人もいないだろうから,政府的には,急性毒性の問題がないことだけを示せば十分なように思うのだが?そして,慢性影響のリスクがどのくらい増加するのかは,今早急にでなくて良いから専門家が落ち着いて示す,っていう流れがベストだと思う.
4.(オマケ)
カドミウム汚染米を工業用糊などに非食用処理するという団体,(社)全国米麦改良協会が流通の過程で関与していてもよさそうなものだけど.ミニマムアクセス分は農水省の直轄管理なの?
#ああ,一連の騒ぎで廃棄されたおせんべいとか,もったいないな.捨てるんだったら私食べたいな.おいしそうなの多いし.
#皆さん,よく勉強していらっしゃるので頭下がります.ウチにTVがないと,こういうとき情報が遅くて困るな.あ,あっても見ないか.