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タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)

神門善久(著)、NTT出版

これは面白いぞ,オススメ.

農協(JA)に,なぜスーパーがあるのか?そして,なぜ葬祭部まで?という疑問を持っていた一方で,国産の農産物をもっと安くすることはできないだろうか?どうすれば?と思っていた.これらの「?」を一挙に解決できる稀有な本である(笑)

いただけないのは第二章.精神論を語ってなるほどと頷いてもらえる人とそうでない人がいるのを,この著者は理解していない.この著者に「食育はまごごろこめた食卓から!」「中食(なかしょく)一切なしで全て家庭で手作りを!」とか言われると,とても気分が悪くなる.そうですか悪うござんしたね,どうせ我が家は加工食品で成り立っていますよ,そして,あなた自身(あなたの妻ではなく)は実践しているんですか?,と減らず口をたたきたくなる.

ところがところが,第三章以降は,この著者でなければできない解析,秀逸ですよ.まず,農業経済系の資料のタイトル!「こんな統計が世の中にあるのか!」目からうろこ落ちまくりである.まだまだ知らないことはあるものだなあ・・・・

農協の仕組みや歴史も全然知らないことばかりだった.農協が敗戦から1960年代までは非常にうまく機能したこと.農村と年の格差を縮めるのに大きく貢献したこと.しかし,それが現代にはふさわしくないシステムになっていること.
耕作放棄地をなくす,それには農協解体&自由化がキー.この意見には全面的に賛成する.全ての農林族議員,農協関係者,そしてつらいとは思うけど,農家の方々一人ひとりに読んで欲しい.