Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

ぐるりのこと。

橋口亮輔=監督,2008年日本(シグロ)
橋口さん好きの友人に勧められて観た.☆3.5(5点満点)
うつもひとつのモチーフと聞いていたから,「自分に余裕が無いと受け入れられないなあ」と躊躇していたけど,観てみたら思っていたよりずっと明るくて軽い映画だった.
そして,橋口さんらしく,どんどん元気になってくる映画だった.(まあ,元気になってくる度合いは「ハッシュ!」のほうが大きい.今まで橋口作品を3つ観たが「ハッシュ!」がいちばんだね!)
リリー・フランキーは裁判画家の役で,いまどき流行りの?癒し系旦那.こんなに旦那が優しくて幸せじゃん?と思うが,死産の赤ちゃんの前に妻は沈んでいくのよね.これは性格もあるからしかたがない.私も戒名が「嬰女」の位牌を見ると(他人のお子さんでも)沈むもの.
立ち直る過程で日本画を描く妻(木村多江,良かったよ!).画を描くということはこんなに前向きになれる行為なんだぁ.どんどん元気になってくる様子が,木村多江の髪型に現れていて,ある意味わかり易かった.
ただひとつ残念だったことは,公開当時に見たかったということ.法廷での裁きを結構長く見せるんだけど,世間を相当騒がせたのにすっかり忘れてる事件が多くて,今ひとつ乗りきれなかった.橋口作品にしては時事性が強いので,後で観ると古さを感じさせるんだろうな.だから橋口さんのの個性が薄まっているように思って.