Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

不適切にもほどがある!

リアルタイムでは観られなかったので、Netflixにて。これは面白かった。
いろいろな見方ができる・・・。
中学の先生方の体罰、職員室でタバコ。純子(河合優実)がタバコを吸う不良という設定も。ノスタルジーに浸るなんてとんでもなく、観ていて嫌悪感しかなかったけど、不思議なことにだんだん慣れてくる。時代の雰囲気に、自分がいかに流されやすいか。不適切という線引きは実に曖昧なものなのだと再認識。
一番笑ったのはキヨシのリーゼントスタイル。私は1986-1988にバッチリ中学生だったので、こういうやつ(先輩)が本当にいたことを鮮やかに思い出させてくれた。リーゼント、短ラン、ボンタン。短ランの中のTシャツと靴下が真っ赤。ベルトは白。完全にコピーしていて最初二度見。
このノリに慣れてきたあたりでようやくストーリーが頭に入ってきた。宮藤官九郎、つかみ上手い。タイムスリップものの複雑さをうまく活かして、古田新太阿部サダヲのことを「お義父さん」と呼ぶのとか、涙が出るほどおかしかった(泣けたのかもしれない)。だって、40年前は錦戸亮だったんだよ。

キャラの立ち方が最高でサカエ(吉田羊)にまさかの告白をする安森先生(中島歩)。中島歩さんは二枚目なのにもかかわらずこの作品ではモッサリしていて、良かった~。睦実(ムッチ先輩)&秋津真彦を演じた磯村勇斗も良かった。一人二役は大忙しだろうにね。近藤真彦になりきり男子、台詞まで。磯村さんお疲れさまです。40年後のムッチ先輩が彦摩呂になってて、実際あるかも~と思わせてしまうのって、何?
河合優実さんの演技がどの時代でもうまく、リアリティがありまくってた。聖子ちゃんカットの純子が美容師のナオキ(岡田将生)の腕で変身するのも花丸。時代の雰囲気ってあるんだよね。ナオキと純子のデート、不思議だったけど最後の留置所でのキスシーン(「また逢う日まで」のパロディ)と、それにぼーっとしている純子が「ローヤ」とつぶやくのは「ローマの休日」のパロディ。岡田将生がこれまた美味しいところ持っていっててコラコラ!宮藤官九郎、役者の使い方をよくわかっている。
金妻のパロディも面白かった。台詞「あの板東英二ですらモテた」がツボ。

勉強になったのは、SNSと炎上について(第8話、12分ごろ)。ツイート見た人は2人しかいないのに、「テレビ実際に見ていない人が騒ぐ」これだよこれ。見た2人がネガティブコメントしているとそれが拡散されていく。
いや~毎回毎回、現代の閉塞感について宮藤官九郎のフィルターを通して面白く指摘してもらえるのに、登場人物のキャラが立ちすぎていて、それどころじゃない感じ。久しぶりに脳みそが忙しいドラマを見せてもらいました。