宮崎吾朗=監督,2011年日本
うん,面白かった.昭和38年の横浜が舞台.
時代考証がどれくらい正確かはよく分からないけど,細部から目が離せない映画は大好き.制服の寝押し(今の高校生は寝押しするかな?),手回し脱水機付きの洗濯機,冷蔵庫の小さいこと.オート三輪・・・.
ストーリー的にも,宮崎駿のちょっとついていけない世界観より,ずっと楽しめたので良かった.なにより自分の高校時代を思いだす,貴重なタイムトリップ感を味わえた.高校生の淡い恋も,「耳をすませば」が好きなので,アリかな.出生の秘密,でもハッピーエンドってあたりは安易だなあと思わざるを得なかったけど.
私の出身高校にも昭和初期に建てられたモダーンな講堂があって,オーケストラで演奏したり演劇をしたり.脈々と続く伝統の中に身を置いていることに,気が引き締まったものだった.学校の雰囲気もバンカラでおんなじ.私が入学した平成元年は校舎にビラは貼ってなくて,学生集会はなかったけど,壁には「三里塚を許すな!」のペンキ字(あの,独特な字体で).すご〜く大人になった気がした.私たちに「諸君!」って呼びかける先生もいらっしゃって,リベラルな旧制中学の空気がちょっぴり漂っていた.そんな中で貴重な3年間を過ごせたことは本当に幸せだった.・・・・そんなことを感じながら夢中で観てしまった.
”カルチェ・ラタン”を見てまっさきに思ったのは「駒寮!」.あんなに汚くないけど.あと,『千と千尋〜』の湯屋.魑魅魍魎とした感じが.