Being on the Road ! in Hatena

タイトルは沢木耕太郎「深夜特急」トルコ編の「禅とは,途上にあること」という台詞から.

Kal Ho Naa Ho

子どもができてから,自分の好きな音楽が思うように聴けなくなってしまい,ときにストレスがたまることもある。娘が全て選曲してしまうからである。反面,先入観なくランダムにCDを選ぶので,ずっと聴かなくなっていたものを聴いて新たな発見をすることもあり,お得な面もある。
さて,娘は,ついにDVDに目覚めてしまった。CDと同じように,ランダムに「これ観よう」と言って持ってくる。無視すると怒り泣きするので,休日はできるだけつきあう。DVDはCDと違って高価でもあり(メディアにコピーができない),「だめ!」と言った場合怒ってDVDをゆがめたり傷つけたりされるとダメージが大きいので懐柔策に出る,という感じである。
本日のリクエストはインド映画の「Kal Ho Naa Ho」だった。夫がインドに留学している関係で,インドコンテンツが豊富な我が家なので,これでも順当な選択である。
インド映画は3時間以上と長く,ヒンディー語,字幕ももっとも身近なものが英語なので,観るには気力が必要だ。だから,たいていの作品は一度観たらお蔵入りである。しかし,娘のセレクションにかかると,気に入った場面をそれこそ5回,6回と見る羽目に。字幕も英語を選択するのがめんどくさいのでなし。ヒンディー語をそのまま受け入れることにする。娘には字幕があろうと,音がヒンディー語だろうと関係なし。映像の面白いところ,早口の喧嘩シーン,ダンスシーンなどでキャッキャと声を上げて喜んでいる。そういう点は,娘もすごいなあと素直に感心してしまう。私も,いくつかの発見があった。
・「デコデコ」は「見て見て!」。ダンスシーンで連呼されるとさすがに覚えるね。
・以前,カシミールでお世話になったお宅にあった,湯たんぽ(日本では氷枕に良く使われていたゴム製の袋にお湯を入れる。朝まで適温が保たれる)。インド流の暖の取り方にえらく納得したのだが,この湯たんぽが「Kal Ho Naa Ho」にちらりと映っていた。小道具までこだわる,インド映画の意外な繊細さを発見して驚く。話の舞台はニューヨークで,やはり寒いのだろう。女主人公のおばあちゃんがこの湯たんぽを使っており,この人がパンジャーブ出身という設定だが,カシミールの知人宅もお母さんがパンジャーブ出身なので,これはその地方に共通のものなのかもしれない。